【陸上】やり投・北口榛花に贈られた日の丸 小学生が“北口先生”から学んだ「志」と「姿勢」の大切さ
7月7日、七夕の日に女子やり投でパリ五輪代表の北口榛花(JAL)が欧州へと飛び立った。ここからパリ五輪、そしてダイヤモンドリーグと秋までノンストップで戦い抜く。 【写真】北口榛花へエールを送る新堀小学校の子どもたち 出国前の空港内で北口に“サプライズ”が待っていた。関係者が用意した4つの日の丸には、「世界一めざしてがんばってください」「70m!」「全力で」など、たくさんの応援メッセージがつづられていた。
多忙な中で「姿勢」の大切さを伝えに
そのうちの2つは、北口の母校・北海道教育大附属旭川中学校の後輩たちからのもの。そしてあとの2つは、埼玉県新座市にある新堀小学校と東野小学校から贈られた。一見、「なぜ埼玉の小学校?」と思うかもしれないが、実はこんな縁がある。 昨年のブダペスト世界選手権で金メダリストとなった北口。オフシーズンだった秋から冬にかけて新堀小学校に1回、東野小学校に2回、サプライズで訪れていたという。 きっかけはコロナ禍にさかのぼる。 北口のケアを担当している治療院「SSSA(スリーエスエー)」は、解剖学を専門とする元筑波大准教授の足立和隆先生にアドバイスをもらいながら『解剖学的立位肢位』に基づいて治療を施している。 その足立先生と治療院をつなげたのが、東京有明医療大学の小山浩司先生だった。北口の実践例も含め、治療の効果測定。そして論文に落とし込んでいるのが人物である。 しかし、コロナ禍のさなかに姿勢についての論文をまとめるにあたり、どうしても統計を取るのが難しい時期があった。苦心している時に、治療院に通っている小学校教員で、その縁もあって北口とも交流がある村田聡子先生が勤務先(当時は新堀小学、現・東野小学校)の校長先生に掛け合ってくれ、快諾してくれたのだという。 小山先生は『姿勢』の大切さを伝える特別授業をするために2つの小学校を訪問。その際にサプライズゲストとして、世界一になった北口が一緒に訪れた。 姿勢の授業がメインの内容。もちろん、姿勢の大切さも子どもたちは一生懸命学んだが、それ以上に北口の言葉が心に深く刻まれた。「北口選手の授業ではなかったんですけど」と小山先生が苦笑いするが、北口が「志を持つこと」「夢を持つこと」「あきらめないこと」といった言葉は、幼心にストレートに響き、目を輝かせた。