英国ではRAV4やZR-Vのガチ・ライバル 3代目が小改良 フォード・クーガ 2.5 PHEVへ試乗
1.9tの車重の割に俊足 優れた姿勢制御
電動化技術が載ることで、クーガ 2.5 PHEVの車重は1859kgと軽くない。それでも実際の加速力は、馬力から想像する通りの勢いがある。0-100km/h加速は7.3秒と、クロスオーバーとしては俊足。CO2の排出量は23g/kmで、最高速度は201km/hに届く。 ただし、アクセルペダルをやや強めに踏んだだけで、CVTがエンジンの回転数を必要以上に高める印象がある。うるさいだけでなく、振動も伴う。 もしそれが気になる場合は、EVモードでの走行も可能。今回の試乗では、ガソリンを燃やさず65km走ることができた。静かでレスポンシブで、小気味いい。 駆動用バッテリーの搭載位置は低く、前後アクスル間に収まっているため、重心バランスは良好。優れたグリップ力を有し、カーブではボディロールが驚くほど小さい。日常的な速度域でも、この事実は体感できるだろう。 トップグレードのST-ラインには、スポーツサスペンションが組まれる。その名の通りスポーティな設定ながら、凹凸の吸収性は明らかに低下する。乗り心地は明確に硬くなり、速度抑止用のスピードバンプでは、不快な揺れも伝わってくる。 筆者は、通常のサスペンションがクーガには適していると思う。グレードを選ぶ前に、試乗されることをオススメしたい。
クラス平均より上の動的能力 コスパ良好
郊外の道では、ステアリングの正確性や直感性で、フォード・フォーカスに届いていないことへ気づく。ステアリングホイールは、切り始めからクイック過ぎ、80km/h以下の速度域では自然な印象が薄い。車線中央を維持することへ、気を使ってしまう。 そのかわり、高速道路の速度域では安定性が増す。乗り心地も滑らかになり、洗練という言葉が浮かんでくる。唯一、タイヤの転がり音は少し大きく感じられた。 アップデートで、競争力が補強されたフォード・クーガ。パワートレインの洗練性や、インテリアの雰囲気などが、まだクラストップの水準へ届いていないことは否めない。 それでも以前と変わらず、コストパフォーマンスに優れる実用的なファミリー・クロスオーバーだといっていい。動的能力も、クラス平均より上にある。 ◯:重い駆動用バッテリーを積んでいても安定した操縦性 定期的な充電で燃費を伸ばせる 不足ない動力性能 △:インテリアの質感 パワートレインの洗練性 クイック過ぎるステアリング
フォード・クーガ ST-ラインX 2.5 PHEV(英国仕様)のスペック
英国価格:4万2455ポンド(約866万円) 全長:4645mm 全幅:1882mm 全高:1683mm 最高速度:201km/h 0-100km/h加速:7.3秒 燃費:100.0km/L CO2排出量:23g/km 車両重量:1859kg パワートレイン:直列4気筒2500cc 自然吸気+電気モーター 使用燃料:ガソリン 最高出力:243ps(システム総合) 最大トルク:20.2kg-m(内燃エンジン) ギアボックス:e-CVT(前輪駆動)
ジョナサン・ブライス(執筆) 中嶋健治(翻訳)