98歳でハーフマラソンに出場した工藤金次郎選手 沿道を沸かす!【大分国際車いすマラソン】
―沿道から多くの人が並走するぐらい応援がすごかったですが、どう感じましたか? 「ものすごく嬉しかったよ。最後まで私一人に応援してくれる。応援があると無意識に応えようとするもんよね。みんなが『頑張ってよー、金ちゃん』って言うてくれたら、こっちも一生懸命になれる。応援の声は、ちょうど我々を励ましてくれる音頭みたいな感じやね。今日も坂を少しでも登れたのは、応援のおかげ。応援があるからこそ『よっしゃー』ってなるもんね。」 ―今日の天候はどうでしたか? 「今日は天気は良かったけど湿度が高かった。肺の病気をした者には堪える。酸素が少ないから、ボンベを使って走るけど、帰りもあるからあまり出せんのよね。マラソンは休む時間がないから、休まないで体力が続く限り走るんよね。でもそこがマラソンの魅力なんよね」 ―大分の応援は特別ですか? 「大分は昔から特別やね。1回目の大会ではまだみんな(障害のある人がスポーツをすることへの)理解が難しかったみたいやけど、その後どんどん(参加者と観客が)増えていって、名前まで覚えてくれるようになった(笑)。応援があるとやっぱり励みになる。応援がなかったら、むきになって走らんもん」
―来年に向けてという思いはありますか? 「まあ、生きとらなしゃーないけどね(笑)。高齢やけん、いつ逝くやらわからんけど、生きとれば必ず来る」 ―必ず来ますか? 「挑戦はする。速かろうが遅かろうが関係ない。参加することに意味があるけえ。年が若かったら『絶対来る』って確約するけどね。これだけ高齢になると明日の命がわからんのよ。また来れるように頑張ります」 ―来年99才ですよね? 「自分の考えでは、せめて100才までは出場したいと思っとる。以前、大会を皇室の方が見にいらして、『何回まで参加しますか?』って聞かれたから『生きとったら100になっても来ます』言うたんや(笑)それが耳に残っとる」 ―これまでの人生とマラソンがつながってますね 「もう人生の半分はここに費やしてきた。43年って人生の半分ですよ。それぐらいここに一生懸命になって来たんよ」 取材・文:越智貴雄