安心の暗証番号(11月25日)
気味が悪い。県北地方の男性に先日、通信アプリ「LINE(ライン)」を通じて大手運輸会社から荷物配送の案内が届いた。取り扱う営業所は神奈川県内。何かの間違いだろうと考えたが…▼会社に確認したところ、配達相手の連絡先は確かに自身の携帯番号という。それ以上、詳しくは教えてもらえなかった。誰かが自分に成り済まして利用しているのか。それとも、クレジットカードのデータなど個人情報を不正に入手され、通販に使われているとでもしたら最悪だ。利用履歴を確認するのが怖い▼日本クレジット協会によると、昨年のカード不正利用の被害額は全国で541億円に上り、前年より104億円増えた。5年前の2倍超で、今年は上半期で270億円近くに達した。カード会社や通販サイトの名前でメールやメッセージを送信し、カード番号を入力させる。手口が巧妙化しているのだろう。国は「フィッシング詐欺」に注意を呼びかけている▼先述の男性の手元に荷物は届かず、真相はいまだやぶの中だ。このご時世、便利と不安はコインの両面のよう。完璧な安全安心の扉を開く「暗証番号」は設定されてはいない。常に心して身構えなければ。<2024・11・25>