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洗顔料や石鹸などで知られる「Dove（ダヴ）」の広告が炎上した。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。 「Doveを展開するユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社が10月11日の国際ガールズデーに合わせて展開した広告です。渋谷駅構内に掲出した広告がSNSを中心に大炎上しました。カワイイに正解なんてないをスローガンにしたものでしたが、それが逆効果になったというのです」。 具体的には若い女性たちが気にしそうなワードをあえて二重線で消したものだった。 「遠心顔の遠心が、人中短いの短いが消されるなど、今どきの美容ワードが10種類を盛り込まれていました。二重線で消したことで逆にコンプレックスを煽ることになってしまったんです。ここに掲載されている10種類があたかもカワイイの基準のように見えてしまったとも言えるでしょうね。美容整形の低年齢化も指摘されている今、ルッキズムの観点から見ても軽率だったと言わざるを得ないでしょうね」。 スマホで簡単に多くの情報を見ることができる現代。その中で子どもたちもルッキズムにさらされている。今回は無自覚な親のルッキズムが子供を苦しめる可能性があると憂うある女性の話だ。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------

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菅原花江さん（仮名・40歳）は小学生と中学生の娘を2人もつワーママだ。女たちがモデルや芸能人、韓国アイドルなどに憧れて、スタイルを気にするようになり、心配をしていると話す。 「確かに憧れるのはわかりますし、自分もそういう時代がありました。でも今はもっと具体的なんです。何キロ痩せなきゃとかのレベルじゃない。二重の幅は何センチが可愛い。人中は短いほうがいい。涙袋はなければ書く、さらにはヒアルロン酸を入れるなと言うと友達から聞きました。幸いうちはまだ大丈夫ですけど、本当に情報って怖いですね」。 子供達は口を揃えて「みんなやっている」というらしい。 「TikTokとかInstagramなど、SNSの情報はかなりすごいなと感じます。うちは2人ともまだSNSのアカウントは解禁しておりませんが、中学生の娘はスマホを持っているので、ネットからちょいちょい見ている気がします。これ以上、制するのは難しいし、どうしたものかなと頭を抱えているところ」。 そんな折、次女の通う小学校の運動会で異様な光景を目にしたと話す花江さん。 「次女は小学5年生です。10月初旬に運動会が行われたんですが、そこでまさにルッキズムを助長するような発言を連発しているママを見つけて、本当に驚いたんです」。 ルッキズムとは外見や身体的な特徴に基づいて他者を差別する思想や社会現象のことである。近年、話題に上ることが増えたのは、花江さんが指摘するようSNSの影響が大きい。平塚氏はこう話す。 「SNSは身近な同年代で繋がることも多いですよね。そのことで以前よりも簡単に他人との比較ができるようになってしまったんです。さらにいいね、リポストなどが数としてみれるのでそれが評価基準になってしまう危険性も示唆されています」。 確かに我々の子供時代よりは身近な人の情報が遥かに手に取りやすい。さらにそれを親が助長しているのが気になると花江さんは話す。 「実は同学年にいるママ軍団なんですけど、運動会での発言は目に余るものがありました。ルッキズムっていうか、もはやいじめに近い発言…」。 ーAちゃんよりうちの子が痩せてんのになんで組体操で下なの? ーB子ちゃんのあの天然パーマはさすがに可哀想。ストレートパーマなんでかけてあげないのかな? ヒソヒソ声とはいえ、はっきりと花江さんには聞こえる声だった。周りの数人の親たちも眉をひそめていたそう。さらにこの後、デリカシーのないママ友軍団と娘たちはキャーキャー奇声を上げながらTikTok撮影風景を始めたというのだ。【後編】ではさらに詳しく話を聞いていく。 取材・文/橋本 千紗