学習端末で個人情報取得、文科省通知「自治体と学校が責任を」…リクルート側も運用見直し
学習用端末で収集される小中学生らの個人情報保護に不備がある問題で、文部科学省は24日、情報の取得・管理は自治体と学校が責任を持ち、民間事業者はその委託先であることが望ましいとする見解を全国の教育委員会に通知した。読売新聞の取材で一部の自治体が、学習用アプリを提供するリクルート(東京)に個人情報を直接取得・管理させていることが判明しており、見直しを求めたものだ。 【アンケート】個人情報の取得・管理を「未検討、わからない」も4分の1近く
リクルートは24日、本紙に対し、2026年4月をめどに学習用アプリを通じた個人情報の直接取得を取りやめると明らかにした。当面はリクルート側の利用約款を改定し、自治体が管理しやすい形にして対応する。リクルートは「文科省などの見解も踏まえ、児童・生徒の個人情報をより安全に管理するため運用の見直しを決めた」としている。
政府のGIGAスクール構想で小中学生に1人1台配備された端末には民間事業者の学習用アプリがインストールされ、児童生徒の氏名や学習履歴などの個人情報が収集されている。文科省は、教委が情報取り扱いの責任を持つことが前提だとしてきたが、リクルートの学習用アプリ「スタディサプリ」を利用する自治体の一部ではリクルートが子供の氏名や生年月日、テスト正答率などの情報を直接取得して管理。一部データは一般向けアプリの機能改善にも利用されてきた。
文科省はこの日、学習用端末で収集される個人情報の扱いについて全国の教委を対象に実施した初の実態調査結果を公表。1782教委から回答があり、民間事業者に個人情報を直接取得・管理させていたのは21教委(1%)あった。「検討したことがない、分からない」は408教委(23%)で、実際には事業者が直接取得・管理しているケースはさらに多い可能性がある。
調査ではまた、収集した個人情報の「利用目的の特定」をしていないのは202教委(11%)、目的を児童生徒や保護者に「明示」していないのは460教委(26%)あった。昨年4月施行の改正個人情報保護法で自治体に義務付けられており、法令違反にあたる。
個人情報保護に詳しい森亮二弁護士の話「個人情報の提供を拒めない義務教育の場で、民間事業者が情報を直接取得するのは不適正で、リクルートはすぐにでも運用を見直すべきだ。国はこうした違法の疑いのある状態を解消するため、事業者側にも望ましいデータ取得や管理のあり方を周知し、子供の個人情報保護を徹底する必要がある」