「どうして日本だけ…」魚の漁獲量、世界全体で2倍の増加。日本は3分の1と激減。日本で魚が釣れなくなっている理由。
添付のグラフは世界全体(赤の折れ線グラフ)と日本の生産量(同・青)を比較したグラフです。世界全体では1980年代の1億トンから2倍に増加して現在は2億トンになっていて増え続けています。対照的に、我が国は同1,200万トンから400万トンと3分の1に激減して、さらに減り続けて悪化が止まる気配はありません。 このように、世界と日本の傾向を比較すると「何故これほどまでに違うのか?」という大きな疑問がわくはずです。我が国では青い折れ線グラフの方しか学校で取り上げないため、水産業は魚が獲れず、後継者もいない厳しい一次産業と習ってしまいます。しかしながら、実際には世界人口の増加と水産物の需要増加を背景にした紛れもない「成長産業」なのです。 Point.5 日本では漁業は斜陽産業。世界では成長産業。 社会科の先生がこういった客観的な事実をする機会がなく、現実を知らずに授業をしていることで、教えられた子供にも水産業に対する誤解が広がり、国民全体が誤解してしまっているのです。 筆者には、拙稿やYoutubeをご覧になったマスコミ関係者からの問い合わせが増えています。記事を書かれる際には魚が減っていく本当の理由について、「獲り過ぎ」という本質的な内容が伝わるようにしていただければと思います。
片野 歩 (かたの・あゆむ)
Fisk Japan 代表取締役。東京生まれ。早稲田大学卒。東洋経済オンライン ニューウェーブ賞受賞(2022 年)。2015 年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990 年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第 2 位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20 年以上毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会) 『日本の漁業が崩壊する本当の理由』、『魚はどこに消えた?』(ともにウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)。連載 東洋経済オンライン 、 Wedge(ONLINE、 魚が消えて行く本当の理由(ブログ) 累計でシェアは累計で 8 万回を超える。世界浮魚協議会でアジアから唯一の評議会メンバー。国内外での講演多数。参議院で講演。日本大学、宮城大学他で特別授業。NHK ラジオ他出演多数。2023 年 12 月に Youtube 「おさかな研究所」を開始。これまでの著書 4 冊は、日本経済新聞、朝日新聞、産経新聞他、全書が書評で紹介されている。