「どうして日本だけ…」魚の漁獲量、世界全体で2倍の増加。日本は3分の1と激減。日本で魚が釣れなくなっている理由。
どんな魚が減っているのか? 答えはほぼ全滅!!!という危機的状態
ところで具体的にはどのような魚が減少しているのでしょうか?添付の表は最新(2023年)の水産白書からのデータです。2022年の数字は2012年と比較すると16種(その他の魚種は1魚種として)の内、実にイワシを除いたすべての魚種です。なお、ホタテは漁業といっても稚貝をまいている漁業なので除外します。16種中でイワシ類を除いた15種、9割以上で減少しており「全滅」状態なのです。 さらに2022年と2021年の比較でも、ほぼ全魚種が減っていることが表からわかります。これに2023年を比較したら、そのまたさらに減少してしまうのは、2022年よりさらに全体として減っているためいうまでもありません。なお、マイワシは環境要因で大きく変動します。マイワシまで減少に転じたら一体どうなってしまうのでしょうか? Point 3 もはや日本近海で資源量が回復している種がほとんど存在しないという事実
魚が減っているという問題はメジャーなマスコミではなかなか取り上げられない
ところが、こういった全体の生産量が減り続けている問題がマスコミで扱われることは、ほとんどありません。サンマが、サケが、スルメイカが、サバが、イカナゴが、、、といった個別の報道では全体像がわかりません。また、すでに大きく水揚げ量が減っている前年より少しでも増えると、前年比何割増、何倍といった報道になるので、まるで回復したような錯覚を覚えさせられてしまいます。 残念ながら、まだ効果がある資源管理が適用されていないので、悪くなっても中長期的によくなることはありません。下のグラフ(水産白書)は我が国の生産量が減り続けていることを示しています。
世界全体では増え続けている『漁獲量』
添付のグラフは世界全体の生産量のグラフです。減り続ける日本とは対照的に増加が続いています。青の海面漁業が横ばいなのに対して、ピンクと緑の養殖量が増加していることがわかります。水産物の供給のためには養殖業は不可欠になっています。 青の海面漁業は横ばいで推移していますが、これは魚が獲れないので伸びていないということではありません。北欧・北米・オセアニアをはじめ、科学的根拠に基づく資源管理の重要性に気づいている国々は、実際には単年、もしくは数年間は大幅に漁獲を増やすことができることがわかっています。しかしながら資源の持続性を考えて大幅に漁獲を制限しているのです。 Point 4 世界は資源量の管理に真剣に取り組んでいる 科学的根拠に基づき、漁業者や漁船ごとに実際に漁獲できる数量より大幅に少ない漁獲枠が割り当てられています。このため価値が低い小さな魚や、脂がのっていない、おいしくない時期の魚は、自ら獲らないようになる制度なのです。これを個別割当制度(IQ,ITQ,IVQ)などと呼び、譲渡性の有無などによりいくつかのパターンがありますが、乱獲を防ぐという意味で基本は同じです。 わが国でもようやく個別割当制度(IQ)の適用が、2020年の漁業法改正があり始まりました。ただし、実際に漁獲できる数量より割当が大きかったり、実際に漁獲されている魚が小さかったりなど、まだまだ運用面での課題があります。漁業者の方に、まだ個別割当制度に関する正しい情報が伝わっていないことは大きな問題です。 日本の内水面には、持ち帰ることのできる魚の体長の規定があるが、知っている人が少ない。『小さいと唐揚げにすると美味しい』というような理由で違法にキープされ、顛末はといえば、産卵にたどり着くまで成長する魚がおらず、秋になると資源量が大幅に減る。それを次の解禁のシーズンまでに放流で補填するという悪循環。日本の川に真の天然魚は少ない(特にトラウト/サーモン類、1割もいません)