元プラスマイナス岩橋も公表…強迫性障害を抱える漫画家(38歳)が明かす壮絶な体験「まさに生き地獄」
人によって症状が違うので一概に言えない
――元お笑いコンビ「プラス・マイナス」の岩橋良昌さんのX投稿騒動に伴い、彼自身が公表している強迫性障害についてもメディアで取り上げられました。みやざきさんは岩橋さんの行動を見てどのような印象を受けましたか。 みやざき:岩橋さんの「Xの投稿騒動」が強迫性障害の症状と関係あるのかについては、私には分かりません。「やってはいけないことをやってしまいたくなる衝動を抱えていらっしゃる」ことが一部で報道されていて、それが本当なら、「不道徳恐怖・懺悔強迫」(『図解 やさしくわかる強迫性障害』原井宏明・岡嶋美代、ナツメ社より参照)とよばれるものに近いのかもしれませんが、これはあくまで私の想像です。 強迫性障害の症状にはさまざまなものがあり、何を恐ろしいと感じるか、恐怖を打ち消そうとどんな行動を取るか、も患者さんによって違います。病気の問題は非常にデリケートですし、「この人はこうだ」と言うことは難しいです。 患者さんに共通していることは、ある行為をする(またはしない)ことによって、「こうなったらどうしよう」という強迫観念がわいてくること。それを打ち消そうと何らかの儀式的な行為(強迫行為)を繰り返すこと。わいてくる不安は強く、つきつめて考えていくとそれは「死への恐怖」なのではないかと思います。 例えば手をしっかり洗わないと何らかの病気に感染して死ぬのではないか、死んでしまうような病気を人にうつしてしまうのではないか、というような……(強迫行為の最中は「とにかく今感じている恐怖をなんとかしたい」と必死で、そんなことを考える余裕はないですよ)。
血が滲むまで手を洗い続けてしまう
――強迫性障害にはさまざまな症状があるそうですが、具体例を教えていただけますか。 みやざき:私は、「不潔恐怖」「加害恐怖」「縁起恐怖」など代表的な症状をほとんど経験していると思います。例えば、昔は自分の手が汚れていることが一番気になって、血が滲むまで手を洗い続けていました。最近は、自分で決めた通りの回数で洗えているか、ハンドソープを適量で出せているかが気になります。 他にも、「4」という数字を見るだけで動けなくなっていましたね。壁に付いているシミに恐怖を感じたり、道に落ちているゴミや落ち葉も気になったりしていました。気になるものを見つけただけで、頭が混乱してしまうんです。 ――そのような気持ちをどのようにコントロールしているのでしょうか。 みやざき:「気持ちをコントロールできているか」というと分からないところはありますが、小さなことが気になってもそれを無視するよう心掛けています。以前より苦痛なく生活していますが、外出時は髪が外気に触れないよう帽子を被り、家に帰るとしっかり手を洗い服を着替えて部屋に入りますから、神経質ではありますね。