元プラスマイナス岩橋も公表…強迫性障害を抱える漫画家(38歳)が明かす壮絶な体験「まさに生き地獄」
精神科に受診するも泣くことしかできない
――同居しているお母様は、みやざきさんの抱えている苦しみをどのように見てらっしゃいましたか。 みやざき:治療のことは私が自分で決めていて、母はいい意味で、あまりかまってこないですよ。母親の入院中に、私があまりにもやせて、常に不安を訴えるようになった時には心配になったようで。私は母から話を聞いた母の友人に病院の精神科に連れて行かれました。 ――その病院で強迫性障害と診断されたのでしょうか。 みやざき:初めは診察室で涙をボロボロ流して泣くことしかできませんでした。「あんなことが起きたらどうしよう」「こんなことが起きたら死んでしまう」といったことを言い、それを聞いたお医者さんは最初、統合失調症と思ったそうです。二度目の診断で強迫性障害だと診断されました。
治療で便器に触らされる?
――強迫性障害と診断されて、すぐに治療に取り組まれたのでしょうか。 みやざき:当時、強迫性障害の治療法といえば、不安に馴れるために、便器など手で触りたくないものを無理やり触らされるというイメージを持っていたんです。だから、「自分には無理」と思っていました(実際は、患者が嫌がることはさせられません。誤解していたのです)。投薬治療は受けていましたが、薬が自分には合っていなかったように思います。 病院に行っても、診察を受けるまでに2~3時間待たされることが辛かったです。なので、初診から1年半後に通院をやめました。1回目に通った病院の医師は強迫性障害についてあまり詳しくなかったかもしれません。
しんどい経験を笑いに昇華して人を楽しませたい
――最初に通った病院で回復に至らなかったものの、再度治療に取り組もうと思ったのは、なぜですか。 みやざき:どうしても漫画を描きたかったからです。18歳の時から漫画家を目指し、アシスタントの仕事を掛け持ちしながら、やっと大賞を獲ってデビューしたのに病気が急激に悪化してまともに漫画が描けなかったんです。だから何とか病気を治して、もっといい漫画を描けるようになりたいと思いました。 ――デビュー当初はギャグ漫画を描いていたそうですね。 みやざき:私は真面目に描いているつもりだったんですが、デビュー作品がギャグ漫画と勘違いされてしまい……(笑)。ギャグ漫画でやっていこうということになったんです。私自身、あまりにもしんどいことが多い人生だったので、自分の経験を笑いに昇華してギャグにしたい気持ちが強いんです。苦しい経験を笑いに変えて伝えたい。それから、苦しみの発露として漫画を描いていた面もあります。 <取材・文/秋山志緒> 【みやざき明日香】 1986年、関西生まれ。2010年、アフタヌーン四季賞で四季大賞受賞、デビュー。著書に『強迫性障害です!』『強迫性障害治療日記』(ともに星和書店)『性別X』(講談社)などがある 【秋山志緒】 大阪府出身。外資系金融機関で広報業務に従事した後に、フリーのライター・編集者として独立。マネー分野を得意としながらも、ライフやエンタメなど幅広く執筆中。ファイナンシャルプランナー(AFP)。X(旧Twitter):@COstyle
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