クールなビールを世界に届ける 勝木敦志・アサヒグループホールディングス社長
── 2023年12月期連結決算は売上収益、事業利益ともに過去最高です。背景は? 勝木 創業以来、国内ビール事業がメインでしたが、生産年齢人口の減少もあり、1995年から国内ビール市場は縮小し始めました。2009年ごろから、海外でM&A(合併・買収)を本格化させ、16、17年に西欧や中東欧の、20年にはオセアニアのビール事業を買収しました。日本事業の奮闘に加え、海外の成長を得ることができています。 新型コロナウイルス禍の影響からも世界的には21年から回復を始め、23年は海外事業が売上収益全体の50.5%、事業利益も65.6%を占めています。一方、コロナ禍によるサプライチェーンの混乱など、コストアップが続いています。22年には14年ぶりに国内ビール類を値上げしました。商品のプレミアム(高級)化なども業績に寄与しました。 ■グローバルブランド五つ ── 海外の注力ブランドは。 勝木 「グローバルブランド」と称し、世界展開を図っている五つの商品があります。オランダの「Grolsch(グロールシュ)」は1615年に始まり、400年以上の歴史を持ちます。また、イタリアで1846年に発足した会社の「Peroni Nastro Azzurro(ペローニ ナストロアズーロ)」に、150年の歴史をもつチェコ発の「Kozel(コゼル)」。そして、世界のピルスナービールの元祖、1842年に発売開始された「Pilsner Urquell(ピルスナー・ウルケル)」があります。これら四つは16、17年の買収で当社に加わりました。 そして「アサヒスーパードライ」です。ボリュームが大きいのはペローニ ナストロアズーロとの二つで、「非常にクールなビール」と受け止められています。 ── 23年のラグビー・ワールドカップ(W杯)フランス大会でのスポンサーは印象的でした。 勝木 W杯を中心としたプロモーション活動で、アサヒスーパードライの23年の売り上げ(販売数量)は前年比でフランスで90%増、日本以外の世界全体では35%増と「爆発的成功」を収めました。