三流は「前も言いましたよね」と怒り、二流は自分を正当化…「伝わらない」とき一流が最初にかける言葉
話が伝わらないときはどうすべきか。元日本マイクロソフト役員の澤円氏は「『言ったはずですよね』と相手を責めても問題は解決しない。まずは謝ったうえで“質問”し、解決のプロセスへと進めていくことが大事だ」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、澤円『うまく話さなくていい ビジネス会話のトリセツ』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。 ■ビジネス会話の第一歩は「合意」 「あのとき言ったはずなのに」 「何回も言っているんだけどなあ」 「この話、前にもしましたよね」 心のなかで、こう嘆いたことがある人も多いと思います。 ビジネスシーンで頻発する、「言ったことが伝わらない」問題。この問題を解決するため、僕は「ビジネス会話」を次のフレームワークで捉えています。 ビジネス会話は、「合意」と「定着」で考える。 まず、ビジネスをうまく進めていくには、関わる人たちがなんらかの「合意」に至っておくのがとても重要だということです。 合意するとは、ゴールを共有するとも言い換えられます。当然ながら、到達したいゴールがなければ、そこへ向けたステップが進んでいきません。 もし、合意なしで実行すると、途中で衝突が起きる可能性が高まります。「わたしはそんなつもりじゃなかった」「こんなはずじゃなかった」と言い合う状況が生まれるわけです。だからこそ、まず当事者同士で、なんらかの合意をすることが大事になります。
■「定着」のプロセスを踏んで齟齬をなくす その後は、ゴールに向けてプロセスを進めていくのですが、ステップごとにマイルストーン(道しるべ)を設定し、なにをもって「うまくいっている」とするか、その判断基準についてもあらかじめ合意しておきましょう。 「この段階のマイルストーンはクリアしたから大丈夫。よし、次へ行こう」という具合に、判断基準を随時チェックし、つねにマイルストーンによって状況判断をしながら進んでいきます。 これが「定着」という意味であり、言い換えれば、小さなゴールの達成を積み重ねていくことです。状況判断のための道しるべをもとに、最終的なゴールへと向かっていきます。 ビジネスを適切に前進させるには、まずは当事者同士で目指すゴールを「合意」する。そして、小さなマイルストーンをつくり、正しく状況判断をしながらスピーディーにそのプロセスの「定着」を図っていく。 「ビジネス会話」の存在意義は、この手順を促すことにあると言ってもいいでしょう。 ■「言ったことが伝わらない」ときは“まず謝る” 「合意」と「定着」をうまく実現できず、「言ったことが伝わらない」問題が発生してしまったときは、どうすればよいのでしょうか。 前提として僕は、どんなものごとにおいても、相手の時間を無駄にすることが、相手にかける迷惑のトップだと位置付けています。 例えば、仕事で使うツールに不具合が起きると、うまく動作しないことで相手の時間が無駄になるとみなすことができます。あるいは、相手がお金を損したならば、相手の時間あたりの収入が減ることで時間が無駄になっていると言えるでしょうし、そのお金を取り戻すために、相手は余計な時間を使わなければなりません。 僕は、もし自分が相手の時間を奪う状態になったり、相手が期待する体験に十分応えられなかったりする状態になったなら、最初にまず「謝る」という行動をしようと心がけています。 先にきちんと相手に謝ったうえで、その理由と今後の対策についてしっかり伝えていくようにしようと決めているのです。