写真提供：（C）2024映画「陰陽師0」製作委員会／『陰陽師0』4月19日(金)全国ロードショー（配給：ワーナー・ブラザース映画）

俳優・山崎賢人（崎=たつさき）さんが主演する映画『陰陽師0（ゼロ）』が、4月19日より全国で公開されます。その公開にあたり、3月には佐藤嗣麻子監督と原作者の夢枕獏先生が、同作のヒロイン・徽子女王とゆかりのある三重県立斎宮歴史博物館を訪問しました。そこで今回、同館で学芸員を務める日本史学者の榎村寛之先生に、徽子女王についてあらためて解説をいただきました。 【写真】史上最強の呪術エンターテイメントがいよいよ幕を開ける!『陰陽師0』 * * * * * * * ◆『陰陽師0（ゼロ）』公開にあたり 『陰陽師0（ゼロ）』が本日より全国で公開されます。 公開にあたって全国のゆかりの地で試写会が行われましたが、奈緒さんが演じる斎王徽子女王ゆかりの斎宮にほど近い、三重県多気郡明和町に位置する「109シネマズ明和」での会は格別だったのかもしれません。 試写会では佐藤嗣麻子監督と夢枕獏先生による舞台挨拶が行われ、併せてお二方が斎王の宮殿の遺跡・国史跡斎宮跡と、私が学芸員を務める斎宮歴史博物館を訪問されたのです。 夢枕先生は、斎宮跡で発見された奈良時代の五芒星（晴明の紋章にも使われた一筆書きの星印）に興味を惹かれ、佐藤監督は徽子女王が暮らした斎宮の中心・内院跡の竹神社の森で、何かを深く感じたとおっしゃっていました。 さて、本作のヒロイン・徽子女王は、『源氏物語』にも影響を与えたといわれる最も有名な「斎王」（映画では「斎宮」）の一人ですが、それほど世間には知られていません。 そこで本記事では、映画のネタバレにならない程度にその人生をご紹介し、鑑賞の助けにしたいと思います。

写真提供：（C）2024映画「陰陽師0」製作委員会／『陰陽師0』4月19日(金)全国ロードショー（配給：ワーナー・ブラザース映画）

◆そもそも斎王とは まず、斎王について簡単にご説明を。 「斎王」とは、天皇に代わって伊勢神宮に仕える天皇の娘などの皇族女性のこと。確実なところ、飛鳥から鎌倉時代の終わりまで660年も続いたあとに、途絶えてしまいました。 そのため「なぜ必要だったのか」をはじめ、謎が多く残されています。その謎にいくつかのヒントをくれるのが徽子女王なのです。 徽子女王は延長七年（929）に生まれました。 父は醍醐天皇の第四皇子、重明親王です。彼女は天皇の娘ではないのに、承平六年（936）、叔父の朱雀天皇の斎王となりました。 なお、山崎賢人さん演じる安倍晴明は彼女より8歳年上。そして映画で晴明のバディを務める染谷将太さん演じる源博雅は、醍醐第一皇子の克明親王の長男。徽子女王にとって、11歳年上の従兄となります。