「潰瘍性大腸炎」の治療でステロイドが不要に!? 先端治療の有効性に期待高まる
関西医科大学らの研究グループは、「入院が必要な潰瘍性大腸炎の患者の治療について、生物学的製剤などを用いた先端治療の有効性を検討した結果、先端治療の有効性がステロイドと同等だった」と発表しました。この内容について甲斐沼医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
研究グループが発表した内容とは?
編集部: 今回、関西医科大学らの研究グループが発表した内容について教えてください。 甲斐沼先生 関西医科大学らの研究グループは、ステロイドを基本とした寛解導入および維持療法がおこなわれる潰瘍性大腸炎の治療に対して、生物学的製剤などを用いた先端治療の有効性を検討しました。研究成果は、「J Gastroenterol」に掲載されています。 研究の対象となったのは、2020年8月~2021年7月に国内39施設で院後の治療として、ステロイド療法または先端治療を受けた急性重症潰瘍性大腸炎患者221例です。先端治療は、「アフェレシス」「免疫抑制薬」「生物学的製剤」「JAK阻害薬」が対象となりました。 研究の結果、寛解導入率は入院7日目のステロイド群で22.5%、先端治療群で16.8%となり、入院14日目のステロイド群で35.0%、先端治療群で29.7%となり、同等の水準となりました。 また、臨床的改善率についても調べると、入院7日目のステロイド群で45.0%、先端治療群で39.6%となり、入院14日目のステロイド群で43.6%、先端治療群で43.6%となりました。 臨床的改善率についても、ステロイド群と先端治療群で同等の水準になったことが明らかになりました。 研究グループは、今回の結果を受けて「重症潰瘍性大腸炎の入院患者に対する先端治療の有効性は、ステロイドとほぼ同等であった。 特に入院前にステロイドを使用していた患者では、ガイドラインや治療指針に準じてステロイドを増量するよりも、先端治療に切り替えた方が高い効果が得られた」と結論づけています。さらに、先端治療を組み込んだ新たな治療戦略のフローチャートも提示しました。