伯父はJFK…トランプ氏が厚生長官にロバート・ケネディ・ジュニア氏を指名
【ワシントン=冨山優介】米国のトランプ次期大統領は14日、新政権の厚生長官にロバート・ケネディ・ジュニア氏(70)を指名すると発表した。ケネディ氏は新型コロナウイルスなどのワクチンに懐疑的な言動で知られており、保健行政のトップに就くことで混乱が生じると懸念されている。
トランプ氏は声明で、「ケネディ氏は(保健行政の)機関を科学研究の絶対的な基準に立ち返らせ、透明性を取り戻し、米国を再び偉大で健康な国にするだろう」と述べた。
ケネディ氏は昨年10月に大統領選への出馬を表明し、民主、共和のどちらの党にも属さない「第3の候補」として注目された。今年8月、選挙戦から撤退し、トランプ氏を支持すると表明していた。次期政権での起用は、トランプ氏の大統領選での勝利に貢献したことへの見返りとみられる。
ケネディ氏は反ワクチン団体の創設者で、ワクチンの安全性や効果に批判的な立場を示してきた。今月6日には米公共ラジオNPRのインタビューで「誰からもワクチン(接種の機会)を奪うつもりはない」と断った上で、「ワクチンの安全性に関する科学には大きな欠陥がある。科学研究がしっかり実施され、国民が十分な情報を得た上で(接種を)選択できるようにするつもりだ」と述べた。
政権高官の人事には上院の承認が必要となる。共和党は上院の過半数を固めているが、米紙ニューヨーク・タイムズは、ケネディ氏がワクチンを含む標準的な医療に懐疑的であることから、「承認を得られるかどうかは不透明だ」と伝えている。
ケネディ氏はジョン・F・ケネディ元大統領のおいで、民主党を代表する一族の出身だが、共和党のトランプ氏の支持に回った。