阪神D1位・伊原陵人、地元の奈良・橿原市で即戦力左腕としての決意表明「1年で駄目だったらクビだと思っている」
この日は地元の奈良・橿原市で亀田市長を表敬訪問し、その後は母校の八木中にもサプライズで訪れた。全校集会中だった後輩たちが自分のことを知らないのではないかと「めちゃくちゃ緊張していた」。だが、伊原の名前が呼ばれると、どよめきとともに大歓声で迎え入れられた。壇上では在校生760人を前に、夢に向かって一生懸命に取り組むことの大事さを伝えた。最後に花道を作って送り出してくれた応援団の手本となるためにも、ひたむきに戦う姿をマウンドで示していく。
「自分が好きなことを選んでいるなら、一生懸命やるのが大事。いつできなくなるか分からないので。そこは大事だと、めちゃくちゃ思います」
胸に湧き上がる悲壮感を大きな力に変えていく。振り返ったときに長かったと思えるプロ野球人生は、一球一球に魂を込め続けた日々の先にある。(須藤佳裕)
★恩師・河内校長も期待
伊原は八木中の1年時は柔道部に在籍し、2月に野球部に転部した。当時の恩師、河内剛校長は一度は入部希望を突き返すも2日連続で懇願され「一生、野球をやめないこと。それが約束できなかったら入れたらん」と条件を提示したという。交わした約束はプロ野球選手となっても守られていく。「成績が悪かったときも帰ってきて、後輩たちにもがいている姿を見せてやってほしい」と、厳しい世界での精進に期待した。
■伊原 陵人(いはら・たかと)
2000(平成12)年8月7日生まれ、24歳。奈良・橿原市出身。小1で軟式野球を始める。智弁学園高3年時にエースとして春の選抜大会出場。大商大では2年秋に関西六大学リーグの最優秀投手、3年春にベストナイン。NTT西日本では2年連続で都市対抗に出場し、今夏は8強入りに貢献。今秋のドラフト会議で阪神から1位指名された。契約金1億円プラス出来高払い3000万円、年俸1600万円。家族は両親と4歳上の兄。血液型はB型。170センチ、77キロ。左投げ左打ち。
■橿原(かしはら)市
奈良県のほぼ中央に位置する市で、人口約12万人は奈良市に次ぐ2位。日本書紀では日本建国の地として記され、飛鳥時代に持統、文武、元明天皇が3代にわたって16年間治めた都、藤原京跡がある。1952年に特別史跡、68年に歴史的風土特別保存地区に指定された。神武天皇を祀る橿原神宮、国内で6番目に大きい前方後円墳の丸山古墳など、国指定文化財が多数ある。出身の著名人は藤原鎌足、三浦大輔監督(DeNA)、2016年リオデジャネイロ五輪のバドミントン女子ダブルスで金メダルの高橋礼華らがいる。