トランプ氏の言動、就任前から世界に波紋-関税やウクライナ問題など
トランプ氏は21日には、パナマ運河が米国の軍艦や商船に対して「法外な通航料」を課していると批判。中国が運河への影響力を強めていると懸念を示すとともに料金引き下げを要求し、そうでなければパナマは運河を米国に返還すべきだと主張した。
パナマのムリノ大統領は22日、トランプ氏が米国によるパナマ運河管理を復活させる考えを示したことに対し、「わが国の統治権と独立性は交渉の余地がない」と述べ、断固拒否する姿勢を表明した。
米国内では、連邦政府機関の閉鎖回避を目指したつなぎ予算案の成立がトランプ氏やイーロン・マスク氏の横やりで一時危ぶまれる事態となった。また、18日に記者会見したパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は、トランプ氏が実施する可能性のある追加関税の潜在的な影響を一部の金融当局者が織り込み始めたと明らかにした。
トランプ氏当選を受けて暗号資産(仮想通貨)ビットコインが急上昇し、米株価も上昇。こうした中で、現職のバイデン大統領の存在感は極めて希薄となっている。
ワシントンに拠点を置く米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の中東プログラム担当ディレクター、ジョン・アルターマン氏はトランプ政権1期目発足前の2016年当時の状況に関し、「常に不透明感や警戒感があった」と回顧。これに対し「今では、トランプ氏がどのように行動し、米国以外の国々が同氏にどのように反応したかや、何がうまくいって、何が機能しなかったについて非常に多くのデータがある」と指摘した。
しかし、カナダからの輸入品に25%の関税を賦課するとのトランプ氏の脅しを受け、急きょ同氏との会談に臨んだトルドー首相はその後、次期米政権への対応を巡る対立でフリーランド財務相が辞任する事態に直面。トランプ氏に対処するために入念に練り上げた戦略が必ずしも計画通りに行かないことも明らかとなっている。
原題:Trump Upending Global Politics a Month Before Taking Office (1)(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Josh Wingrove