5歳の息子が写真家に教えてくれた知識や技術より大切な写真のこと「カメラじゃなくて写真をやるんだよ」
即完売の超人気ワークショップを主宰する写真家・幡野広志氏が5歳の息子に教わった写真の真実を、著書『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』から一部抜粋・再構成してお届けする。カメラの性能や専門的な知識より、もっとも重要なこととは。
カメラじゃなくて写真をやる
写真をはじめる人ってカメラのことを気にするけど、カメラなんかなんでも良くて、それよりレンズのことを気にしたほうがいいし、カメラのこと気にするならパソコンのことを気にしたほうがいいんですよ。 写真ってカメラで撮るから誤解しがちだけど、カメラは基本的になんでもいいんですからね。料理人とおなじ包丁使ってもおなじようにはできないし、包丁が長くても短くても料理人はできちゃうでしょ。カメラも一緒だからね。 プロとおなじカメラを使ったらおなじような写真が撮れると思ってしまう人も、そう誤解させる広告をうってるカメラメーカーもあるけど、プロとおなじ機材を使ったとき余計に差がはっきり出るからね。カメラには上限があるから、どんなにカメラで頑張っても無駄だよ。 カメラをやるんじゃなくて写真をやるの。カメラをはじめるんじゃなくて、写真をはじめるの。趣味がカメラじゃないの、写真を趣味にするの。 カメラなんかなんでもいいし、露出だの構図だのピントだのなんだのって勉強しなくても写真はできますからね。「写ルンです」でみんな写真撮れるじゃん。カメラがむずかしいんじゃなくて、勝手にむずかしくして写真のハードル上げてるだけだよ。写真もカメラもむずかしくしようと思ったら、研究者や開発者レベルまでむずかしくできるからね。 この写真はうちの妻が撮った息子の写真です。ピントは合ってないけど、ぼくは妻が撮った写真でいちばん好きです。カメラのことをなんも知らないお母さんが撮った写真って感じ。すごくいい。料理でいえば家庭料理みたいなものだよね。