5歳の息子が写真家に教えてくれた知識や技術より大切な写真のこと「カメラじゃなくて写真をやるんだよ」
保育園の先生に見せてあげたくて
次の写真は息子が5歳のときに撮った花火大会の写真です。中判のデジタルカメラで2㎏ちかくあって子どもには重かったはずです。手持ちで撮影していたからブレてるんだけど、この写真をプリントしてほしいと子どもにお願いされました。 理由を聞くと保育園の先生に見せてあげたくて撮ったそうです。写真は誰かに伝えたくて撮ります。誰かに何かを伝えたいから撮ります。ぼくは写真の本質を5歳の息子から教わったような気持ちになりました。 写真はかんたんです。誰でも撮れる。むずかしくしようと思ったらどこまでもむずかしくできるけど、かんたんにしようと思ったらどこまでもかんたんにできます。まずはかんたんにいきましょう。 文・写真/幡野広志 (すべて書籍『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』より) ---------- 幡野広志(はたの ひろし) 1983年、東京生まれ。写真家。2004年、日本写真芸術専門学校をあっさり中退。2010年から広告写真家に師事。2011年、独立し結婚する。2016年に長男が誕生。2017年、多発性骨髄腫を発病し、現在に至る。近年では、ワークショップ「いい写真は誰でも撮れる」、ラジオ「写真家のひとりごと」(stand.fm)など、写真についての誤解を解き、写真のハードルを下げるための活動も精力的に実施している。著書に『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』(PHP研究所)、『写真集』(ほぼ日)、『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』『息子が生まれた日から、雨の日が好きになった。』(以上、ポプラ社)、『なんで僕に聞くんだろう。』『他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。』『だいたい人間関係で悩まされる』(以上、幻冬舎)、『ラブレター』(ネコノス)がある。 ----------