白菜は8分の1カット販売…野菜高騰、年末の食卓を直撃 キャベツやレタスは昨年比3倍、鍋物食材こぞって高値 鹿児島県内
異常気象の影響で野菜が品薄となり、価格が高騰している。スーパーは少量パックを充実させて売価を抑える工夫をしているが、家族が集う年末年始は量が必要となるため家計は圧迫される。飲食店なども原料費の高騰に苦慮している。 【写真】〈別カット〉年末年始の買い出しで混雑する店内。鍋物に欠かせないネギも高めだった=27日、鹿児島市のおいどん市場与次郎館
27日昼過ぎ、鹿児島市の直売所「おいどん市場与次郎館」は年末年始用の買い出し客で混雑した。量販店に比べ割安感はあるものの、白菜1玉486円、ホウレンソウ1袋311円と高値が目に付く。霧島市の主婦(58)は「年末は孫も含め十数人集まるから食費が大変」と話す。 山形屋ストアAMUWE店(鹿児島市)青果担当の福岡祐太さん(29)は「豆苗やカイワレ以外、ほとんど値上がりしている」と明かす。キャベツは1玉での販売を休止し、白菜は8分の1にカットして売る。スーパーハルタ(同市)も一部品目で小分けパックを例年の3倍程度に増やした。 鹿児島中央青果(同市)によると、キャベツやレタスは昨年の豊作の反動もあり、相場は前年比3倍、ブロッコリーで1.5倍に高騰。野菜部の山下和則部長(57)は「11月が特に高く、ここ1週間でまた一気に上がった」。猛暑や台風10号、10月の大雨で全国的に植え付け遅れや生育不良が生じ「数量減の単価高傾向」にある。業務・加工用の引き合いが強く、相場を押し上げているという。
県内のあるカット野菜工場の担当者は「台湾産は台風被害で生産が少なく、中国産は引き合いが強くて品物がない。値上げ交渉に苦戦している」とこぼす。納品は見積もりの翌月のため、原料を高く買い、製品を安く売っている状況だ。 飲食店も対応に苦慮している。キャベツのお代わりを無料提供するとんかつ開花亭谷山本店(同市)の田中洋祐店長(63)は「人件費も上がり厳しいが、店に来た時ぐらいはたくさん食べてほしい」。形が悪くても品質に影響のない品を割安で仕入れ費用を抑える。 JA県経済連によると、県内は豆類やバレイショが本番を迎えるとはいえ、当面は品薄が続く見通し。担当者は「相場が高くても収量は少なく、生産費は上昇しているので生産現場も苦しい。トラックの24年問題もあって、量が集まらないと運ぶことも難しい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島
【関連記事】
- ご飯の量を減らす日々なのに…「自民非公認2000万円問題」は有権者の怒りに油を注いだ 逆風は一気に暴風へ…最終盤、票は立民へ雪崩を打った〈鹿児島1区〉
- やはり行列できたか…ガソリン値上がり前の駆け込み給油 家庭では家計に響き、移動販売事業者は価格転嫁も考える
- 引く手あまたの新米だから…1等米 農家への仮渡し金を倍増 JA県経済連、集荷競争激化に対抗…一方で高温障害も散見、2等米8割の地域も
- レジ打ち15年、最近時給が上がった。うれしいけれど選挙公約に並ぶ「最賃1500円」は手放しで喜べない…「年収の壁」がある限り
- 昇給したのに、暮らしは逆に苦しく…「心も体もギリギリ」シングルマザーの嘆きは候補者に届くのだろうか