「限界です」“老老介護”85歳妻の首絞め殺害 80歳夫に懲役3年、執行猶予5年の判決
日テレNEWS NNN
85歳の妻の首を絞め殺害した罪に問われている80歳の夫の裁判で、東京地裁は20日、懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡しました。被告は「限界です」などと介護に悩む心境を携帯のメールに保存していました。
20日、法廷に立った80歳の吉田友貞被告。去年、妻・節子さん85歳の首を絞めて殺害した罪に問われています。老老介護の末に起きた事件。裁判所が下した判決は… ◇ 1994年、50歳の時に節子さんと結婚した吉田被告。2016年頃、節子さんの目が見えなくなり始めたといいます。その後、ヘルパーに外出時の支援を依頼するようになりましたが、節子さんは決まったヘルパーしか受け付けなかったといいます。 家の中での介護は、吉田被告が1人で担当することになりました。その様子を初公判で明らかにしていました。
吉田友貞被告(80)(初公判の被告人質問) 「だんだんと方向感覚がずれることがあり、トイレの中まで連れて行くようになりました」 当時、70歳を超えていた吉田被告。食事面でも心を砕いていたといいます。 吉田友貞被告(初公判の被告人質問) 「(節子さんに)かたさの好みがあったので、例えばカボチャ(の総菜)を買っていったら、もう1回やわらかく煮なおしたりしていました」 弁護側(初公判の被告人質問より) 「なぜ、こだわりに向き合ったんですか?」 吉田友貞被告(初公判の被告人質問) 「我々の年になったら食べることしか…本人に満足いかせるものがないじゃないですか。だから、できるだけ望みどおりにしたかったんです」 これまでの裁判で、夫婦の知人は… 夫婦の知人(上申書) 「吉田さんは本当に大変そうで、なんとか助けてあげたいとは思っていました」
去年に入り、要介護1の認定を受けた節子さん。異変が起き始めたのは5月頃からです。節子さんの妄想が始まり、吉田被告が「浮気している」などとわめいたり、他人の家に上がり込んで、長時間、支離滅裂なことを言ったりするようになったといいます。吉田被告はこれを機に仕事を辞めて、介護に専念するようになったといいます。去年7月には、節子さんが心療内科からうつ状態などと診断されたといいます。 そして去年の9月30日。吉田被告は携帯電話のメールに日記代わりのメッセージを保存していました。 「限界です」「刃物は傷をつけてかわいそうなので首を絞めようと思います」 去年10月1日、吉田被告に対し「財布を返せ」などと責め、外出しようとしたという節子さん。吉田被告は4時間以上にわたって節子さんをなだめようとしたといいますが、その後、節子さんの首を絞めて殺害したとみられているのです。 吉田被告のメッセージ(去年10月2日午前1時4分保存) 「ついにやりました」