打球の飛距離が伸びる“ヘッドの遅れ”をどう作る? スイング速度を上げる「下半身感覚」
能登半島地震から1年…楽天・島内宏明が地元の野球教室でバッティングの要点を指導
パ・リーグ打点王が野球少年・少女に伝えたのは、タイミングの取り方とバットのヘッドの位置の重要性だった。楽天・島内宏明外野手が昨年12月28日、石川県中能登町で開催された「Go!能登 野球応援プロジェクト」に参加。野球教室に集まった小学生たちに自ら手本を見せながら、少年野球に役立つ打力アップのポイントを解説した。 【実際の動画】上体力んで振る小学生をどう指導? 打点王が打撃実演…ヘッドが“ギリギリまで残る”下半身動作 石川県出身で大阪桐蔭元主将の水本弦さんが代表を務める「Ring Match」が主催したイベントには、島内に加えて、ロッテ・角中勝也外野手と岩下大輝投手、ヤクルト・北村拓己内野手の4人のプロ野球選手が参加した。全員が石川県で生まれ育ち、能登半島地震から1年が経った今も復興途中の地元を元気づける目的で、地元の小学生と触れ合った。 イベントのメインはプロによる野球教室。子どもたちは4つのグループに分かれ、島内はティー打撃、角中が素振り、岩下が投球、北村は守備を指導した。島内は自らバットを握ってティー打撃を実演し、2021年に打点王、2022年に最多安打を獲得した経験を踏まえ、バッティングでの「タイミングの大切さ」を説明した。 「打撃は投球にバットが当たった時点で結果が決まるので、一番大切なのはタイミングです。タイミングが合わなければ思ったように打球を飛ばせません。速い球にも遅い球にも対応するためには、なるべく早めにタイミングを取ることが大事です」
力を入れるのを“遅くする”感覚…難しくても「意識するだけで違ってきます」
子どもたちのティー打撃を見る中で、島内が指摘したのはバットのヘッドの位置だった。ヘッドをギリギリまで残し、バットは体の内側を通すイメージを伝えた。そして、こう解説した。 「バットを遅らせると、ヘッドスピードが上がって打球を遠くに飛ばせます。力んでしまうとヘッドの返りが早くなってしまいます。腕に力を入れる必要はありません。『下半身を強く鋭く回す』ことで、腕が体に巻き付くようなスイングになり、力強い打球が飛んでいきます。力を入れるタイミングは“遅くする”感覚です」 今までに最多安打や打点王のタイトルを獲得して楽天の主軸を任されている島内でも、打撃の難しさを感じている。まだ知識や経験の浅い小学生が“ヘッドを遅らせるスイング”を習得するのは簡単ではないと理解しており、「最初は難しいと思いますが、意識するだけで違ってきます」と声をかけた。子どもたちにはプロから教わった打撃の引き出しを活用する時が、きっと来るだろう。
間淳 / Jun Aida