ポール獲得のモンテグロは届かず。ジロラミが2度目の戴冠/TCRヨーロッパ最終戦
早くも2024年のタイトル決定戦を迎えたTCRヨーロッパ・シリーズ第6戦が、9月27日~29日にスペイン・バレンシアで争われ、最終戦で重要なポールポジションを獲得した昨季の南米大陸王者イグナシオ・モンテネグロ(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)だったが、無情にもレース2で発生した技術的問題でタイトル挑戦権を失うことに。 【写真】グラベルに捕まるロソンツィのFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR 結果、選手権首位で乗り込んできた2022年王者フランコ・ジロラミ(モンラウ・モータースポーツ/クプラ・レオンVZ TCR)が、レース1制覇の堂々たる戦果も加えてシリーズチャンピオン奪還に成功している。 首位ジロラミが327点、同2位のオーレリアン・コンテ(SPコンペティション/クプラ・レオンVZ TCR)が322点としたのに対し、ランキング3位につけるモンテネグロが296点まで差を詰めて挑んだ最終戦の週末。 タイトル争いの宿敵であるジロラミに対し、予選で0.073秒差をつけ上回ったモンテネグロがまずはポールポジションを奪って10ポイントを獲得し、残りのレースウイークで獲得可能な80ポイントに対し両者の差は合計28ポイントまで縮まった。 そのまま土曜現地17時を前にスタートが切られたレース1は、ターン1までの加速勝負でフロントロウ2番手発進だったクプラがFL5型シビックRを上回り、ジロラミがモンテネグロを追い抜きホールショットを奪う。 その背後では、2列目3番手発進だったヴィクトル・アンダーソン(MA:GP/リンク&コー03 TCR)がパワーを失ってポジションを落とし、早々にピットへ。代わってコンテのクプラが浮上し、ランキング上位勢が表彰台圏内で直接対決の構図を整える。 残り5周の時点でジョバンニ・スカマルディ(SPコンペティション/クプラ・レオンVZ TCR)がグラベルに捕まり、車両回収のためセーフティカー(SC)が導入されると、勝負は残り3周のラストスプリントへ。 ファイナルラップの5番手争いでは多重クラッシュが発生したものの、ジロラミはモンテネグロに1秒強、コンテに4秒強の差をつけるスパートを披露し、残り40ポイントを争う今季最終ヒートを前に、コンテとの差は19ポイント、モンテネグロとの差を33ポイントに広げてみせた。 ■モンテネグロのタイトル争いは突然の終焉 明けた日曜のレース2も複数回のSCが絡む展開となり、オープニングラップではリバースグリッドに着けていたヴィクトル・ダヴィドフスキー(モンラウ・モータースポーツ/クプラ・レオンVZ TCR)がワイドランですぐさま首位を明け渡し、ジミー・クレーレ(バルダン・グループ・バイ・コムトゥユー/クプラ・レオンVZ TCR)が隊列を率いる。 続くラップで同じくダヴィドフスキーをアウト側からパスして2番手としていたニコラ・バルダン(バルダン・グループ・バイ・コムトゥユー/アウディRS3 LMS 2)だったが、残り11周の段階でアウディが息絶えコース上にストップ。ここで日曜最初のSCが介入する。 残り7周の再開時点で、ジロラミはモンテネグロとその僚友レベンテ・ロソンツィ(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)の背後7番手まで回復しており、残り6周でロソンツィを、続くラップでモンテネグロと、立て続けにシビック艦隊を仕留めていく。 その直後、不調のホンダは技術的な問題でピットインし、南米大陸からの武者修行に挑んだモンテネグロのタイトル争いは突然の終わりを告げることに。 直後にはスカマルディがロソンツィに激突して2度目のSCが呼ばれたものの、前方ではルヴェン・ヴォルト(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)とダヴィドフスキーを抑えたクプラのクレーレが勝利を挙げ、6位チェッカーのジロラミが自身2度目のヨーロッパ王者を決めた。 「感謝の言葉もないよ、クプラにはなんとお礼を言っていいか分からないほどだし、このチームをとても誇りに思う」と、前回の2年前はアウディでタイトルを獲得していたジロラミ。 「僕らは1年を通して一歩ずつ、着実に一緒にやって来た。ミスもいくつかあったが、頑張り続けた結果がこれなんだ。アルゼンチンの皆、本当にありがとう、バモス!」 [オートスポーツweb 2024年10月03日]