田家秀樹が振り返る、宇多田ヒカル、BUMP OF CHICKENのデビュー・アルバム
自分にとって音楽とは何なのかを健気なくらい歌っている2枚
静かな伝説 / 竹内まりや 流れているのはこの番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説」です。 デビュー・アルバムにはそのアーティストのすべてが凝縮されているという話を冒頭でしましたが、その後いろいろどんなアーティストも変わっていくわけですね。経験で幅が広がったり奥行きも出たり、技術も巧みになったり。でも、根底にあるものは最初からずっと流れているなというのも、今日あらためて思ったことでもありますね。 25年前のBUMP OF CHICKENと宇多田ヒカルさん。かたやバンド、かたやシンガー・ソングライター。音楽の作り方もスタイルも違うんですけど、やっぱり内面の真摯さと言うんでしょうかね。音楽に向き合ったり、自分の人生を考えたり、これからプロになっていくときの決意とか不安。やれるのかとか、何をやろうかとか、自分にとって音楽とは何なのかとかですね、そういうことを健気なくらい、2組とも2枚とも歌っていますね。 BUMP OF CHICKENはずっとバンドを続けていて、宇多田さんは活動の場所も変わったりして、でも自分の音楽を作り続けていて、それぞれの形の中で以前、以後にシーンを分ける存在になりましたね。25年前、あなたは何をされていたでしょうね。そして今どんなふうにデビュー・アルバムを聴かれているんでしょう。思いだしたことがあるんですけど、僕20代に文化放送「セイ!ヤング」の季刊誌「VILLAGE」という機関紙を1人で作っておりまして、その最終号にこんなことが書いてるんです。「今は若者文化と呼ばれているけど、僕らが大人になれば、これが大人の文化になるんだ」。これを思い出しました。周年アーティストはそれを証明してくれてる、来週以降登場するアーティストはもっともっと大人になってきますからね。そうやって自分の音楽を作り続けた人が、これだけの年齢になって、これだけの周年に差し掛かって未だに音楽をやっている。大人の音楽、大人の文化になりましたね。来週はもうちょっと遡ります。 <INFORMATION> 田家秀樹 1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。 「J-POP LEGEND CAFE」 月 21:00-22:00 音楽評論家・田家秀樹が日本の音楽の礎となったアーティストにスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出す1時間。 OFFICIAL WEBSITE : OFFICIAL Twitter :@fmcocolo765 OFFICIAL Facebook : @FMCOCOLO radikoなら、パソコン・スマートフォンでFM COCOLOが無料でクリアに聴けます! →
Rolling Stone Japan 編集部