草間彌生の没入型インスタレーション、ロンドンの個展が表現するものとは
「楽観性」を象徴する個展
下階には、巻きひげや植物のつる、神経系を思わせる2022年の作品「Death of Nerves(神経の死)」が、およそ15メートルの高さにある天井の梁から吊り下げられた形で展示されている。 上階に設置されたソフト・スカルプチュアのもう1作品、立ち並ぶ木々のような作品は、赤い生地に黒の水玉が描かれた、「The Moment of Regeneration(再生の瞬間)」の新作。生あるすべてのものに内在する成長と衰退のサイクルと、楽観主義と再生を表現しているという。 そのほか上階には、草間が2021年から制作を続けている「毎日愛について祈っている」シリーズの絵画、数十枚が展示されている。大胆な色使いがアクセントのこれらの作品は、草間の代名詞ともいえる水玉や網目が描かれたものを含め、緻密なデザインが特徴だ。中には女性の横顔などが描かれたものもある。 一方、屋外には、ステンレススチール製のインスタレーション、長さ4メートルほどの「Ladder to Heaven(天国への梯子)」(2024年)が設置されている。屋内に展示された絵画に描かれている女性の横顔などをモチーフにした3点のブロンズ製のインスタレーションも、並べられている。 ──タイトルが示唆するとおり、この個展が表現するのは、あらゆる意味での「reflection」だ。物思わしげでありながら、結局のところは楽観性を表現している。 「Every Day I Pray For Love」は入場無料だが、予約が必要。用意されたチケットの配布はすでに終了しているものの、返却されたチケットがあれば、ウェブサイトの予約ページを通じて再配布される。また、9月30日以降は毎週月曜日に枚数限定で、週内(翌日から土曜日)までに使用可能な追加チケットが提供されている。
Joanne Shurvell