「米中産業冷戦」の時代 |半導体「中国封じ込め」に舵を切ったアメリカ
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2021年3月23日は米国半導体産業の歴史に「反転攻勢の日」として刻まれるかもしれない。インテルのCEO(最高経営責任者)に就任したばかりのパット・ゲルシンガー氏は「200億ドル(約2兆1600億円)超を投資する2つの新工場建設」と「独立したファウンドリー(半導体の受託生産)事業の開始」を柱とする「IDM(Integrated Device Manufacturer=垂直統合型メーカー)2.0」を宣言したからだ。「IDM2.0」とは何か、を知るにはインテルが置かれた状況をみる必要がある。 言うまでもなくインテルは米国の半導体産業を築き上げた企業のひとつであり、IC Insightsの集計では2020年も売上高738億ドル(約8兆円)で世界の半導体業界のトップに君臨する。パソコン用CPUなどロジック半導体の開発設計から生産を一貫して自社で手がけるIDMの代表企業。 だが、この数年は存亡の危機に見舞われてきた。主戦場であるロジック半導体の技術水準を示す回路線幅で、台湾のTSMC、韓国のサムスン電子が実用化した10ナノメートル、7ナノメートルのハードルを越えるのに手こずり、両社から1歩から1.5歩後れ、重要な顧客を失い、一部では「半導体の主要な生産工程から撤退し、TSMCなどに生産を委託するファブレス(工場なき)メーカーに転じる」との観測も出ていた。
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後藤康浩