戦後補償の“差別”解消へ「空襲被害者等救済法」成立願う集会 “当事者”高齢化で「法案を通す最後の機会」
成立には懸念も「官僚らから巻き返しの可能性」
その後、空襲連の活動報告を行った黒岩哲彦運営委員長は「今月か来月には法案の文面が出てくると思う」としつつ、成立への懸念と期待を述べた。 「厚生労働省から法案に賛成を得られているわけではなく、官僚らから巻き返しに遭う可能性があり、安心できません。 ただ、秋の臨時国会では旧優生保護法被害者への補償を行う議員立法が提案される見込みが高く、この秋は人権の問題が大きな議論になると思います。 そういう意味では、最後の詰めの時期であり、全力を尽くしたいです」
「厳しいチャレンジだが大きな意味持つ」
総会では空襲連の共同代表で、東京大空襲・戦災資料センターの館長でもある吉田裕氏による基調講演も行われた。 吉田氏は講演で、被害者救済が進まない背景について、民間人の被害は「しかたがない」「やむをえない」という戦中の国民意識が、戦後もかなりの期間維持されたことや、戦争体験世代の減少により、戦争に対する国民の意識変化があるのではないかと指摘。 「戦争体験の継承が必ずしもうまく行っていない、という非常に厳しい状況下でのチャレンジにはなるが、空襲連の運動は戦争に対する政府の責任を追及していくものであり、非常に大きな意味を持っている」(吉田氏) 空襲被害者の多くは80歳を超えており、補償や実態調査を実施するには時間が残されていない。秋に始まる臨時国会で早急に議論が行われることを期待したい。
弁護士JP編集部