遅すぎた「夢の対決」 メイウェザー対パッキャオ
メイウェザーは、パッキャオをプロモートとしているボブ・アラムが大嫌いだが、今回は手を組んだ。またボクシング中継のライバル局であるHBOとショータイムも夢の一戦の実現に異例の合同放映を決めた。両局が過去に合同放映に踏み切ったのは2002年のマイク・タイソン対レノックス・ルイスの3団体ヘビー級統一戦以来のことだ。あらゆる障害を乗り越えて、ついに実現した夢対決。しかし、過ぎ去った年月は、彼らから大事なものを奪い去ってしまったことも確かである。 メイウェザーのスピードには衰えが見え始めているし、階級を上げるにしたがってKO率も下がり、パッキャオもマルケスにKO負けして以来、明らかに打たれ弱さが見え始めてきた。史上最高の対決と呼ぶには遅すぎた対決だったのかもしれない。 だが、たとえ遅すぎた対決であってもロマンは広がる。 正式発表は3月上旬までにロスで行われるようだが、早くもどちらが勝つのかの予想がヒートアップしている。大手ブックメーカーの賭け率は、メイウェザーが1.36倍でパッキャオが3.25倍。圧倒的にメイウェザーが支持されている。村田諒太もメイウェザー有利派の一人。 「メイウェザーがジャブを上手く使って、パッキャオの入り際に右を合わせて、攻撃を空転させて、中差の判定勝ちとみています」 フリオ・セサール・チャベスも「賭けるならメイウェザー勝利だ。ただ、パッキャオはハングリーだと思うし勝利へのモチベーションは高いだろう。パッキャオが、昔の様なアグレッシブさと闘争本能を持って戦うなら、メイウェザーにとっても厳しい試合になるだろう」という見方をしている。 だが、パッキャオ、メイウェザーの両者と対戦経験のあるマルケスは、そういうメイウェザー有利説に反論している。 「メイウェザーにとっては危険な試合になると思う。パッキャオのようなスピードと積極性、そしてパワーまでを備え持つファイターとは戦った経験がないからね」 なお、この試合は、主要3団体のウエルター級の統一戦として行われ、「リマッチ」の条項は契約に含まれていないとか。果たして語り継がれるような名勝負となるのか。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)