元世界陸上"美しき代表"絹川愛がコスプレイヤーになっていた「長距離は自分との対話、変身願望が」
仙台育英高校時代に大阪世界陸上1万mの代表に選ばれ、「平成生まれ初の日本代表」となった若き天才ランナー・絹川愛さん。2017年に引退した後、今年5月に現役復帰と同時にコスプレイヤー・蓮弥として活動していることを発表。そんな絹川さんは幼い頃から“何者か”になりたい変身願望があったそう。陸上競技選手の絹川愛として、コスプレイヤーの蓮弥として、両面から話を聞いた。(前後編の後編) 【写真】コスプレイヤー“蓮弥”として活動、普段の絹川愛さんの撮り下ろしカット【16点】 ――コスプレイヤーの蓮弥さんとしてのお話もお聞きしたいのですが、そもそもコスプレを始めてみようかなと思ったのはいつごろですか? 絹川さん 15歳ぐらいからやってみたくて、(陸上で県外留学していた)仙台でコスプレイベントが開かれていることも知っていたんです。ただ、当時は陸上ばかりやっていたので土日は試合だし、練習もあってできませんでした。 ――なぜコスプレをしたかったんでしょう。 絹川さん 変身願望ですね。陸上だけじゃなくて、スポーツはどれも自分との対話が大事なんです。今の精神状態とか筋肉の状態、コンディションを常日頃管理をして、自分を追い詰めて…と自分主軸なんですよ。あまり他者が関与しないというか。特に長距離ではずっと自分のことを見続けていたから疲れたなって(笑)。 ――現在、メインは男装のコスプレだとか? 絹川さん 私はもう9割ぐらい男装です。ずっと“かっこいい女の子”にずっと憧れていたから、こだわっているのかな。 ――衣装はご自身で製作することも多いと聞きました。コスプレを始めた頃の衣装はどのように用意していたんですか? 絹川さん 当時は今ほど既製品の衣装がなかったので、自分のパーカーをちぎったりして作っていましたね。両面テープで貼り付けて、ホッチキスで留めて、折り紙のように折って「いや、これ服じゃないな駄目だ」と挫折したり(笑)。どうしても作れない衣装が出てきてから、ミシンを買いました。一番遅い速度でかっちゃ…かっちゃ…と、手を震わせながらやっていましたけど、今では一番速いモードで「早く早く!時間がないんだよ!」みたいな状態で作ります。 ――型紙を作り方や、ミシンの使い方はどうやって学んだのでしょう。 絹川さん 独学ですね。基本感覚です。全然職人じゃないのに職人みたいに言っちゃった。ホチキスで留めているだけなのに(笑)。