コール ハーンの「ゼログランド」新作、履き心地が進化 ビジネスを快適に
■ナイキエアー搭載のシューズ、世界的な話題に
前述したように1988年はコール ハーンにとって大きな転機に。ナイキのグループに入ったことで、コール ハーンの名前はそれまで以上に世界中に広まった。 さらに話題を呼んだことがある。2000年以降、クラシックで品質の高いコール ハーンの革靴に、歩行の際の衝撃を和らげるナイキエアーが搭載されたのだ。 そして大ヒットとなったのが、冒頭で紹介したルナグランドだ。着地時の衝撃を和らげるシステムに、ナイキのクッショニング材「ルナロン」を用いたことで、軽やかな履き心地に仕上がった革新的な靴として評判を呼んだ。 なお、「ルナ」は「luna」と書き、英語では「Luna」とlを大文字で表記して月の女神(もしくは擬人化した月)を意味し、イタリア語やスペイン語では月を指す。月の重力は地球の6分の1程とされる。そんな月の上を歩くような、軽い履き心地であるという意味が託されている。 一方、「グランド」は英語で地面を意味する「ground」ではなく、「雄大な・華やかな」といった意味の「grand」のことだ。足を入れた途端に、その軽やかさと快適さから、まるで靴を履いていないような感覚を覚える人もいるほど。 革靴にスニーカーソール。しかもスタイリッシュな外観。この斬新な発想は瞬く間にアメリカだけでなく世界中の話題となった。現在ではこのルナグランドは「オリジナルグランド」へと進化し、コール ハーンのユーザーの間で定番人気を誇っている。
■さらに改良、軽さトップ級「ゼログランド」登場
ここで、ブランドの歴史に戻ろう。2013年にコール ハーンはナイキから離れる。そして、新たな船出を切ったコール ハーンが次に生み出したのが、オリジナルグランドを進化させた「ゼログランド」シリーズだ。 2014年7月に発売された、このゼログランドには3つの大きな特徴がある。まずは徹底的な軽量化だ。約290グラムという、驚くような軽さを実現。コール ハーンのさまざまな靴の中でもその軽さはトップクラスで、まるでランニングシューズのよう。 軽量化を実現できた要因はアッパーを合皮のファブリックにし、靴の縫い目を減らしたこと、さらに靴にメダリオン(穴飾り)を施すことで生地の面積を減らしたことなどによる。まさに靴職人が作ったブランドらしい工夫が施されている。 2つ目の特徴は通気性の良さ。ソールに切り込みを入れて溝を作ることにより、通気性の良さに加えて、手に持って完全に折り曲げることができるほどのしなやかなソールができあがった。 3つ目の特徴はクッショニングのシステム。「グランドOS(GRAND.OS)」という、このブランド独自のものを採用した。 このゼログランドシリーズの中で、最も特徴的なのは「ゼログランド オックスフォード」。機能性に加えて、デザイン性も高いとの評価を得ており、現在でもベストセラーとなっている。