ファンに手を振る巨人の中山礼都＝東京ドーム（今野顕撮影）

■巨人1－0DeNA（20日、セ・リーグCSファイナルステージ） 高卒4年目で本塁打はなし。初のCSを戦う巨人の中山が、大仕事をやってのけた。0－0の五回。「甘い球を一発で仕留めるというのはファームの時からやってきた」と、2番手・山崎の投じた、2球目の内角直球を振り抜いた。右翼席へプロ初アーチをほうり込み、拳を力強く握った。 今季全143試合で先発した二塁手、吉川の故障で得た出番だった。ただ、第3戦までは無安打。「引きずってもしようがない」と臨んだ第4戦で勝ち越し点につながる安打を放ち、吹っ切れた。〝代役〟はこの日、主役になった。 逃げなかった。三塁で先発した8月10日の中日戦では平凡なゴロを内野安打とされ、打撃も振るわず途中交代。今季3度目の2軍落ちを味わい、「もう2度とああいう思いはしたくない」と酷暑のジャイアンツ球場で心技体を見直した。入団時から体重は約7キロ増えた。鍛えたパワーで最高の結果を引き寄せた。 虎の子の1点を守り、1勝のアドバンテージを含めて3勝3敗とした。泣いても笑ってもあと1試合。阿部監督は「総力戦で行きたい」と菅野、グリフィン起用の可能性にも言及した。「（吉川）尚輝さんのためにも日本シリーズに行く」と中山。日本一奪還へ、こんなところでは終われない。（川峯千尋）