性の知識は“自然に学ぶ”まで待っている猶予なし。親ができることは?
いつでも相談できる親子関係の構築を
性教育の重要性は認識していても、親子間で性について語るのは難しさがある。そもそも大人の側が今までしっかりとした性教育を受けてこなかった、という現状もある。そんな中、親はどのように行動するべきなのだろうか。 ーー親子間で、心がけておくべきことは? 家庭で大事なのは、いつでも相談できる関係性ができていることです。「何かあった時は話してほしい」「トラブルが起きても、味方になって絶対助けになるから」と、子どもに伝えておくこと。それが、親として何より大切な姿勢だと思います。 あとは、「否定から入らない」ことですね。たとえば、「赤ちゃんってどうやってできるの?」と聞かれたときに、「そんなこと聞かないの!」と反応すれば、性の話はタブーなんだな、という印象を与えてしまうかもしれません。性教育は、日常の些細なやり取りから始まるもの。生理や妊娠について聞かれたとき、上手く答えられなくても、嘘をついたり、はぐらかしたりせず、「今は説明できないから調べておくよ」でいいんです。誠実に向き合う姿勢を示すことが、大切だと思います。 また、いま「生理の貧困」が話題になっていますが、これはお金だけの問題ではありません。親から生理用品を提供されなかったり、生理のときにどんなケアが必要なのか、知識が不足していたりするケースもあるんです。ナプキンを配れば解決する問題ではなくて、まずは親から、正しい知識を伝える必要があります。その上で、トイレットペーパーがあらゆるトイレに常備されているのと同じように、当たり前にアクセスできる環境を整えられるといいですね。 ーー子どもに性の話をするのは、ハードルが高いという声もありますが? 親世代が、性の話に抵抗感を持つのは当たり前のことなんです。大人も教育を受けていないから、性の話といえば「アダルト」「下ネタ」と、いい印象を持っていない人も多い。そんな中で「子どもに事実を伝えてください」と言われても、プレッシャーを感じてしまうかもしれません。 まずは大人が、性を学び直すといいと思います。そうすることで、自分が抵抗を感じていた性への価値観を、捉え直す機会になるのではないでしょうか。私の動画をみて、性教育の情報を得ているのはもちろんですが、話し方や声のトーンなど、お子さんへの伝え方を参考にしている方もいらっしゃるようです。子どもと一緒に動画を見たという声も聞きます。書籍や動画を見ていただくなど、とりあえず性の情報に触れてみるところから、一歩を踏み出してみてほしいです。 (文:塩井典子 / 動画編集:廣瀬正樹)