性の知識は“自然に学ぶ”まで待っている猶予なし。親ができることは?
大人が誠実に向き合うことが第一歩
妊娠、出産、性感染症など、然るべきタイミングで性の知識があるかどうかは子どもの人生に大きな影響を与える。子どもたちを守るためには、大人が変わる必要があるとあるとシオリーヌさんは語る。 ーー10代の望まない妊娠を防ぐためには? 早くから“お守り”となる性の知識を与えるべきだと思います。それがないせいで、望まない経験をしてしまったという事態はできるだけ防ぎたいです。以前、10代の視聴者からこんな手紙をもらいました。「避妊に失敗したが、動画を見て緊急避妊薬(アフターピル)の存在を知っていた。もし動画を見ていなかったら、私の人生どうなっていたか分からなかった」。性に関するトラブルはすごく人生を左右するものですが、知っていれば防げるものが多いんです。 ーー緊急避妊薬の薬局販売解禁に向けた議論について、どう考えていますか? 緊急避妊薬を薬局で入手できるようになることには、非常に賛成です。緊急避妊薬は、性交から72時間以内の服用が勧められている、タイムリミットのある薬。婦人科へ行く必要があること、高額であることなど、現在のアクセスのしづらさは大きな課題です。 「性教育が不十分だから、手に入れやすくすると、不適切な使われ方をするのでは」という声もありますが、だからといって、今のままでいいという話にはなりません。性教育と緊急避妊薬へのアクセス改善は、両輪で進めるべきだと思います。 ーー具体的な情報が子どもの好奇心を煽り、危険な行為を増やすのでは、という危惧もありますが、その点についてはどう考えますか? 私は、そうではないと感じています。高校生のときから私の動画を見ていたという女の子が、大学生になって、初めてできたパートナーと、性について話し合ったそうです。自分たちはセックスに適した歳なのか、どんな方法で避妊するのか、そのお金を割り勘できるか。大人であっても、ちゃんと話せている人が少ない話題ですよね。情報を得たことでアクションできる子がいるのを、目の当たりにしました。 やっぱり子どもをもっと信用して、具体的な情報を届ける努力をしなければと感じますね。大人が誠実に向き合えば、子どもはそれを受け取って、行動に生かす力を持っているんです。 ーー性の話を伝えるときに意識していることはありますか? とにかく事実を普通に、淡々と話しています。性の話は日常生活のことだし、健康に生きていくためには、当たり前に必要な知識だからです。動画を見て「これまで苦手意識があったけれど、普通に大事な話だと思った」と言ってくれる若い人もいました。すごくうれしかったですね。