中国諜報機関が大失態!中国軍の武威を示すポスターに米軍の写真を誤用
「台湾独立は武力で粉砕する!」と凄み、台湾独立を支援する外国勢力は中国軍が迎え打つ、という趣旨のポスターで、凄んでいたのは米軍艦船だった
中国の諜報機関が台湾独立に反対するプロパガンダポスターを投稿した際に、中国軍と誤って米軍と同盟国軍の艦船の写真を使用していたことが分かった。 【画像】米軍の写真を誤用...中国諜報機関のプロパガンダポスター 「台湾にまつわる分離主義とスパイ活動との断固たる戦い」と題されたこの投稿は、中国国家安全省が8月13日に国内のソーシャルメディアプラットフォームに公開したものだ。中国政府は台湾を自国の領土の一部と見なしており、独立の動きは断固粉砕するスタンスだ。 2021年の地元メディアの報道によれば、中国国家安全省は1983年に設立された。スパイ活動の取り締まりや諜報活動に加え、安全保障や中国政府の海外利益の保護を任務としており、与党・中国共産党の「忠実な擁護者」を自認している。 問題のポスターは中央に剣が描かれ、背景には台湾支援勢力を迎え撃つべく編隊航行する艦船の画像が使用されている。ポスター下部には「国安」と書かれた盾を持った治安部隊の姿がある。 ポスター上部の中国語は「法の支配の鋭い剣が悪魔を断ち、分離主義を排除する」の意味。中国当局は6月に、いわゆる「『台湾独立』強硬派」への処罰として死刑を科すことも可能にする新たな処罰の指針を発表した。
ポスターに米海軍の巡洋艦が
台湾で5月に独立派の頼清徳が総統に就任して以降、中国は台湾への圧力を強めている。中国政府は、「台湾は中国の一部」という中国の主張を認めない与党・民進党を「分離主義者」と見なしており、3期連続の民進党政権が成立したことに警戒を強めている。 中国の諜報機関がソーシャルメディア上にプロパガンダを投稿するのは珍しいことではない。だが台湾の防衛アナリストであるジョセフ・ウェンは、問題のポスター画像の艦船のうち1隻が、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦だと指摘した。 タイコンデロガ級巡洋艦は、航空戦、対潜戦、海上火力支援や対水上戦などの任務を遂行する。同巡洋艦は空母打撃群に配備されていたが退役が決まり、駆逐艦に置き換えられる予定だ。 ポスターに使用されている艦船の画像をさらに詳しく調べたところ、中国海軍とは無関係の画像であることも判明した。元画像は2000年6月18日にハワイ諸島周辺海域で行われた米海軍主導の環太平洋合同演習の際に、米海軍が撮影したものだった。 米国立公文書記録管理局によれば、オリジナルの画像にはアメリカの空母エイブラハム・リンカーンが率いる21隻の艦船がハワイのオアフ島西海岸沖で編隊航行する様子が映っていた。 中国国家安全省の連絡先情報は公開されておらず、コメントを求めることはできなかった(国家安全保障にまつわる問題を報告するためのオンラインプラットフォームはある)。 中国の諜報機関がプロパガンダの中で米海軍の演習画像を誤って使用した経緯については、明らかになっていない。Googleで画像検索を行ったところ、同じ画像がデスクトップの壁紙ダウンロードサイトや中国のグラフィックデザイン用素材サイトに掲載されていることが確認できた。
ライアン・チャン