旧車や絶版車こそ必須。「アクセサリー電源ユニット」でヒューズ切れや電気トラブルを予防しよう
バイクにとって見栄えやスタイルは重要ですが、それ以上に捨てがたいのが利便性です。USB電源やドライブレコーダーなどの電気アクセサリーは、便利で安全性を高めるパーツとして人気があります。装着時には欠かせない電源取り出しにおいて、絶版車や旧車ユーザーが心配なのが純正配線への負荷や負担です。それを解決する一助となるのが、「アクセサリー電源ユニット」です。 【画像】アクセサリー電源ユニットのディテール写真解説をギャラリーで見る(10枚) 文/Webikeプラス 栗田晃
ヒューズが少ない絶版車や旧車は、電源の取り出しが難しい
バイクはノーマルのスタイルが一番で、ゴチャゴチャと余計なアクセサリーやパーツを追加したくない。絶版車や旧車ユーザーの中にはそうした考えの人もいますが、スマホナビやスマートモニターなどの電子機器のありがたみを知ってしまうと、見た目はともかく便利さは失いたくないと変節するパターンも少なくありません。 便利グッズだけでなく、ドライブレコーダーやETC、さらにはグリップヒーターや電熱ベストなど、かつては存在しなかった安全性や快適性を向上させるアイテムも身近にたくさんあって、それらを活用することでバイクライフが一層充実するのは確かです。 こうした電気アクセサリーの電源は車体の配線から分岐して取り出すのが一般的です。その際、どの回路から電源を確保するかを考えることが重要です。現行モデルの車体配線は、一例を挙げると「イグニッション」「燃料ポンプ/ECU」「ヘッドライト」「ウインカー/ブレーキ」「電動ファン」というように、電気系統ごとに数多くのヒューズを使用しているのが一般的です。 このように細分化することで、どこか一カ所で問題が発生してヒューズが切断しても、その影響を最小限に留めることができます。これを利用すれば、電気アクセサリーを装着する際にどのヒューズの下にある配線を分岐すれば良いか想定できます。 もちろん、追加するアクセサリーの電源を取り出しても車体配線のヒューズは切れないのがベストですが、万が一切れた際に「イグニッション」や「燃料ポンプ/ECU」用ヒューズより、「ウインカー/ブレーキ」系統のヒューズの方が被害が少ない=即座に走行不能になることはないのは確かです。 ところが、こうした常識が当てはまらないことが多いのが絶版車や旧車です。 インジェクションもABSもない1970年代のバイクは各部の構造がシンプルなのが魅力のひとつですが、電装系に関してもシンプルというか大雑把な作りを採用しています。 例えば絶版車最強の人気モデルであるカワサキZ1には、なんと20Aのガラス管ヒューズが1本しかありません。イグニッションもヘッドライトもテールランプ回路も、すべて1本のヒューズで守られています。 裏を返せば、車体のどこで異常が発生してヒューズが切断しても、イグニッションに電気が流れなくなるため、いきなり走行できなくなります。 そのため、USB電源やドライブレコーダーの電源をヘッドライトから分岐しようが、ウインカー配線から取り出そうが、何かのきっかけで「パチッ」とショートしたらエンジンも止まります。 これでは使い勝手が悪いと判断したのか、Z1の後継モデルであるKZ900では「メイン」「ヘッドライト」「テールランプ」の3系統ヒューズとなりましたが、ブレーキランプやウインカーリレーの電源はメインから取り出しています。 このため、ブレーキスイッチやウインカーリレーの電源を分岐して取り付けたアクセサリーがショートすると、メインヒューズが切れてエンジンが停止します。だからといってヘッドライトもテールランプも切れて良いわけはないので、電気いじりに興味があるライダーにとって、絶版車や旧車は厄介な相手となるのです。