「ゴシップガール」のブレア的な相手を懐柔するには 鈴木涼美が勧める「敵と寝る」戦法で人間関係を解毒
作家・鈴木涼美さんの連載「涼美ネエサンの(特に役に立たない)オンナのお悩み道場」。本日お越しいただいた、悩めるオンナは……。 【写真】丸の内で友人とお茶をする鈴木さん Q. 【vol.16】趣味仲間からの嫌がらせが地味につらいワタシ(30代女性/ハンドルネーム「くろねこ」) 趣味のコミュニティで仲良くしてくれていたお姉さん2名(50代、40代)から突然、無視や陰で事実無根の話を言いふらされるなどの嫌がらせをされるようになりました。一番理解してほしい人は味方をしてくれていますし、何も恥ずかしいことをしていないんだからと毅然とした態度を取るつもりでしたが、地味につらくて何をしていてもそのことばかり考えてしまいます。少しでも前向きに楽しく過ごすアドバイスがあればお願いします! A. 敵と寝てみるのも芸のうち。 それまで仲良くしてくれていた人に意地悪されたり悪口を言われたりするのってつらいですが、生きていると結構そういうことってありますよね。私自身、ちょっと無神経なところがあるからか、何か人の気に障ることを言ってしまってそれ以来悪口を言われるようになったり、あまり誘われなくなったりした経験は若い頃から幾度となくあります。 米ドラマ「ゴシップガール」のブレアのように、計略を巡らして人を陥れたり人を悪く言ったりすることが得意な、そういうことを表現方法や生きがいの一つとしている男女もいますから、目を付けられると知らないうちにとんでもない噂が広まっていたり、パブリックエネミーに仕立て上げられていたりとやっかいです。
距離を置くのが良い、と多くの場合には指南されるかもしれませんが、人間関係というのは、もともと仲が良くて失うのは寂しかったり、趣味が合うとか休みが合うとかいう理由で失いたくなかったり、あるいは仕事や学校の関係者だったりと、簡単に切れるものばかりではありません。頂いたお便りの中のトラブルも、趣味のコミュニティの内部ということですから、せっかく築いたコミュニティを失う決心はなかなかつかないのではないかと察します。 逆に、なぜ嫌がらせをするのか、何か怒っているのかとはっきり聞いたり、やめてくれと直談判したりするのが得策と言われることもあるかもしれません。しかし、大人同士のさりげない嫌がらせは、割と言い逃れもできるし、そもそも面と向かって聞くことによって関係が悪化するような気もしてなかなか口には出せないのではないでしょうか。 ■涼美流「人間関係の解毒の方法」 私自身、この子は私には別の友人の悪口を言っているわけだし、私といない時にはきっと私のことも悪く言っているのだろうとなんとなくわかったり、さりげない態度で疎まれているなと気づいてしまったりした後も、その友人や先輩と付き合いが続いた経験はあります。特に学生時代や会社員時代は、クラス替えや異動がない限りは日々の人間関係というのはそんなに劇的に変わったりしませんし、隣に座る人を自分で選べませんから、小さな嫌がらせをされても完全に関係を断つというのは難しいところがあります。 そういう時、私が結構使いがちなストレス解消兼人間関係の解毒の方法は、あえて自分からものすごく距離を詰めたり甘えたりする、名付けて「敵と寝る」戦法です。相手が男だと、かつての私のように貞操観念が腐敗しているタイプなら本当に寝てしまえばいいので簡単なのだけど、そして私は別に女性と寝るのもそんなにやぶさかではないのだけど、さすがに相手がそこまでの距離の詰め方にはついていけない可能性もあるので、「寝る」は言いすぎですが、要は仲良くなるということです。