第2期トランプ政権で日本も大乱の時代に 始まる55年体制「真の崩壊」と再生 副作用は承知、各国で望まれる「既得権益の破壊者」
■2025年も世界は「大乱」が続く 2025年の世界の注目は、1月20日の米大統領就任式に臨むドナルド・トランプ氏の動向に集まる。国際投資アナリストの大原浩氏は、トランプ氏にとどまらず世界各国で「既得権益の破壊者」が待ち望まれていると指摘する。大原氏は大乱の時代がくるのは日本も例外ではないといい、寄稿で「55年体制の真の崩壊が日本の再生につながる」と強調する。 【ひと目でわかる】第2期トランプ政権、日本の企業活動への影響は? 筆者は、後世の歴史家たちが、21世紀前半の最も重要な動きとして「第2期トランプ政権」を挙げるのではないかと考えている。 トランプ氏と、政府効率化省(DOGE)を主導する見込みのイーロン・マスク氏、厚生長官に就任予定のロバート・ケネディ・ジュニア氏の「3人衆」は良くも悪くも超個性的だが、その姿は日本の戦国武将と重なる。特にトランプ氏は織田信長同様に「既得権益の破壊者」という側面を持つ。 信長は、寺社、貴族、室町幕府などの既得権益勢力を破壊することによって「新たな日本」による「天下統一」を目指した。だが、その「天下統一」の道のりは簡単ではなかった。「抵抗勢力」に悩まされ、戦いに明け暮れたが、「第2期トランプ政権」も同様と考えられる。 24年の大統領選終盤の短い間に、複数回のトランプ氏暗殺の試みが行われたことがその象徴だ。また、ルイジアナ州ニューオーリンズで元日にトラックが群衆に突っ込み多数の死傷者を出したことは衝撃を与えた。 英国でも24年、14年ぶりに政権が交代した。欧州の主要国において政権与党の求心力が急速に弱まっており、政治・経済の混迷が止まらない。 韓国では、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の「非常戒厳」を発端として政治的迷走が続き、昨年末のチェジュ航空の旅客機事故で混乱が加速している。 アルゼンチンでは、トランプ氏の信奉者であるハビエル・ミレイ大統領が税の数の90%を削減し、税金の種類を多くても6種類に絞り込む計画など「過激な」政治・経済改革を続けている。就任後の最初の10カ月間だけで支出を31%削減するなど「チェーンソー大統領」の名に恥じない働きぶりだ。 日本も例外ではない。「55年体制」とは、1955年に自由党と日本民主党が合同して自由民主党が結成され、日本社会党など野党との微妙なバランスを維持した体制を意味する。93年の衆院選で崩壊したともいわれるが、その後も自民党は一時期を除き政権与党の座を維持し続けた。