電王戦「連敗」 将棋界はコンピューターとどう向き合うべきか
――将棋界は今後、コンピューター将棋とどう向き合うべきと考えますか 「携帯電話やパソコンでネット対局ができ、タイトル戦も動画サイトで中継され人気になっているようにwebと将棋は相性がよく、将棋界の幅が広がるいい傾向にあると思う。電王戦も『黒船襲来』のようにとらえず、プラスに活用することが大切だ。私は以前から自分が指した将棋の棋譜をコンピューターに解析することをやっているが、それによって自分が陥りやすいくせ、ミスが出やすい状況がかなりわかった。現在51歳だが、近年もアマチュア大会で上位入賞できたのはコンピューターを使った取り組みの効果があったと思う。自分がまったく考えない手も提示してくれるし、コンピューターは人間を補助するものとして大変有用なのは間違いない」 ――人工知能研究の世界ではコンピューターの進化はさらに加速し、2045年ごろには人工知能が人類の知能を超えてしまうと予測する「2045年問題」という議論も出ています 「以前はコンピューターの将棋を見ると、これはコンピューターが指しているとわかることが多かったが、最近はコンピューターに人格があるような錯覚を覚えることがある。例えば局面評価の設定を強気からネガティブに見るように変えた場合、負けるのを怖がるコンピューターが出てくるのかといった疑問も生まれる。映画・2001年宇宙の旅では、意思を持つコンピューターが出てくるが、コンピューター将棋もそのような事態が起きるのか。興味はあるが、怖い気持ちもあります」