中国の「ピッチ幅を狭める」奇策も粉砕 日本代表「3-1」で勝利のウラで浮上した疑問点
2026年北中米W杯のアジア3次予選グループC・第6節の中国戦は、今予選で初めて対戦相手にゴールを許したが(オーストラリア戦の失点はOG)FW小川航基の2ゴールなどで3-1と快勝。5勝1分の勝点16に伸ばして独走態勢を固め、早ければ来年3月20日に再開されるバーレーン戦に勝てば勝点は19となり、3試合を残して予選突破が決まることになった。【六川亨/サッカージャーナリスト】 【写真をみる】著者が「消えている時間が長すぎる」と指摘した選手とは? 主な選手のコメントも ほか ***
この日まで勝点6で並んでいた2位のオーストラリアはアウェーでバーレーンと対戦し2-2のドローで勝点を7(1勝4分1敗)にしたが、3位のサウジアラビアはインドネシアに0-2で敗れて勝点6のまま。 日本に敗れた中国と、サウジアラビアに勝ったインドネシアも勝点を6に伸ばしたものの、残り4試合に全勝しても(お互いに対戦を残しているため4チームが揃って全勝することはありえないが)最大勝点は18でストップ。このため日本がバーレーンに勝って勝点19にすれば、上位2か国に与えられるW杯の出場権を獲得できることが決まった。 前回の対戦では7-0と大勝した中国が相手だっただけに、3-1の結果を物足りないと思うファン・サポーターもいるかもしれない。しかし彼我の実力差を把握して対策を立てれば、日本の一方的なスコアにはならないし、日本も拙攻が目立った。今回の結果は妥当であり、中国も2連勝中で自信を取り戻したこともあるかもしれないが、攻守にアグレッシブに日本を迎え撃った。 これに対し日本は、インドネシア戦から右CBに瀬古歩夢、左ボランチに田中碧、右サイドは伊東純也と久保建英、左サイドは中村敬斗と5人の選手を入れ替え、南野拓実を左インサイドハーフにコンバートしてきた。
ピッチを意図的に狭めた中国
移動もあり中2日の試合で、「インドネシアは暑かったのでフレッシュな選手を入れた」という森保一監督の選択は当然である。 しかしながら、この采配が機能したかというと疑問だった。インドネシア戦では左CBの町田浩樹がビルドアップの起点となり、守田英正を経由して鎌田大地のポジショニングの妙から突破口を開いた。 中国戦でも町田はボールを運んで攻撃を組み立てようとした。しかし田中はなかなか攻撃に絡めず、中村も得意のカットインからのシュートや、オーストラリア戦で同点のOGにつながったようなタテへの突破も仕掛けられなかった。 その一因として、試合後に久保が「相当狭くて、並大抵のヨーロッパのチームより(中国の寄せが)速く感じた」と言っていたように、中国はピッチの幅を1・5メートル、両サイドを含めると3メートルも狭くして日本のサイド攻撃を封じに来たことが指摘できる。 これまでもアウェーでは劣悪なピッチコンディションでの試合を何度も取材したが、意図的にピッチのサイズを変えてくる(FIFAのルールの範囲内で)のは初めてだ。それだけ中国もなり振り構わず日本を研究して対策を講じたのだろう。