業況不振に中国製の攻勢まで…韓国鉄鋼業界に予告された厳しい冬
需要不振、競争激化、原価負担の「3重苦」 鉄鋼3大企業、前年に比べ営業利益減少
業績発表シーズンを迎えた韓国鉄鋼業界の雰囲気は暗鬱としている。国内の建設景気不振と中国製鉄鋼の低価格攻勢が呼び起こした業況不振が数年間続く中、産業用電気料金まで最近引き上げられ、原価負担が大きくなったためだ。鉄鋼業界の冬が長引く見通しだ。 ポスコ(POSCO)ホールディングスは30日、今年第3四半期に18兆3210億ウォン(約2兆220億円)の売上と7430億ウォン(約820億円)の営業利益を上げたと公示した。前年同期に比べ、それぞれ3.4%、38.3%減少したもの。直前の四半期に比べれば、それぞれ1.0%、1.3%減少した。市場の期待値にもはるかに及ばない水準だ。証券街の見通しの平均(Fnガイド集計)は売上18兆4901億ウォン(約2兆540億円)、営業利益8115億ウォン(約900億円)。 売上の約50%を占める鉄鋼部門の不振の影響が大きかった。鉄鋼部門の売上は第3四半期の15兆6690億ウォン(約1兆7400億円)で1年前より小幅に増えたが、営業利益は4660億ウォン(約520億円)で前年同期に比べ45.4%、前四半期より6.2%減少した。収益性が大きく悪化したということだ。ポスコ側は「中国の鉄鋼需要不振が続き、それにともなう価格下落の影響で、中国法人を中心に収益性が悪化した」と話した。 先に実績発表を終えた現代製鉄は、第3四半期の営業利益が前年に比べ83%減少した321億ウォン(約35億6500万円)にとどまり、東国製鋼も79.6%減った215億ウォン(約23億8800万円)の営業利益を記録した。 国内の鉄鋼メーカーは、需要不振と競争激化という二重苦に悩まされている。鉄鋼の業況は国内の建設景気と緊密にかみ合っている。建設現場が回らないと、建物の骨組みを構築するのに使われる鉄筋など鉄鋼材の販売が減る。中国の状況も不利に動いている。コロナ禍以降に行われた急激な政策金利の引き上げが工事費の上昇につながり、建設景気が低迷している。世界最大の鉄鋼消費国である中国の鉄鋼需要は、2020年をピークに4年連続で下り坂をたどっている。この過程で中国で生産された膨大な低価格の鉄鋼製品が内需で消化されず韓国に押し寄せ、販売価格の下落を招いている。国内の鉄鋼メーカーの収益性が悪化する背景だ。 このような状況は短期間では解消されない見通しだ。専門家らは、中国政府が建設景気を盛り上げるだけの十分な浮揚策を打ち出すか、中国の鉄鋼の供給過剰が解消されなければならないとみている。韓国投資証券のアナリスト、チェ・ムンソン氏は「中国の鉄鋼メーカーの財務構造はまだ良好な状態」だとし、「ただし、2025年の熱延鋼板価格が原材料費を下回る水準まで下落すれば、中国政府が2026年には構造調整に踏み込む可能性がある」と予想した。 業界では産業用電気の値上げで増える生産コストも今後の負担要因になりうるとみている。韓国電力公社は24日、産業用電気料金をキロワット時(kWh)当たり平均16.1ウォン(約1.79円)引き上げた。電気で古鉄を溶かして溶銑を作る電気炉などを稼動させるため、鉄鋼業界は半導体の次に電力消費が多い業種だ。鉄鋼業界の関係者は「中国製の低価格鋼鉄の大量供給で値下げ圧力が大きい状況であり、電気料金の値上げによる原価上昇が負担になる状況」だと語った。 ナム・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )