〈ブライトリング〉トップタイムの新作は 複雑機構トゥールビヨン搭載の貫禄ウォッチ!
〈ブライトリング〉のパブリックイメージといえば、どう考えても“パイロットウォッチの名門”だろう。1884年にスイスのサンティミエで誕生した同社は1930年代、3代目のウィリー・ブライトリングが創設した航空用時計の専門部門“ユイット・アビエーション”の奏功などで航空業界との関係を強固にし、さながら“二人三脚”の体で進化の軌跡をシンクロさせながら現代にまで至っている。さらに、この経緯に端を発して同社は航空関連だけでなくより広範な分野に版図を広げ、総合的な“プロフェッショナルブランド”としても認知されている。 〈ブライトリング〉は、1940年代から高精度クロノグラフに高度な複雑機構を搭載してきたが、同社の中で決してマジョリティとはいえなかった。ただ近年、ヘリテージを尊重する同社の方針に加え、新ムーブメントの共同開発により、同社はコンプリケーションの筆頭であるトゥールビヨン機構の採用に積極的な姿勢を見せていて、新機軸としての期待が高まっている。 そのトゥールビヨンの最新作が、“トップタイム B21 クラシック カーズ クロノグラフ トゥールビヨン”。トップタイムは1960年代にウィリー・ブライトリングが屋台骨の航空時計とは別途、市井のユースカルチャー等への訴求を図って誕生させたコレクション。2020年に復活した現行コレクションも果たして本格仕様をベースとしながらデイリーシーンに馴染みやすい、ファッショナブルな趣向が魅力となっている。
このたび同コレクションに属する、往年のアメリカ車をテーマにした“クラシックカーズ”に、コレクションで初となるトゥールビヨン機構を採用したモデルが加わった。トゥールビヨンは19世紀初頭に特許が認められた非常に高度な機構で、端的にいうと、通常はムーブメントに固定されている時計の調速部位を輪列(歯車)の一環として常時回転させることで、重力の影響による精度の偏差を最大限に緩和し、より正確な運針を促すもの。このモデルはその機構(トゥールビヨンキャリッジ)が文字盤の12時位置に露出しており、精緻な動きそのものがデザインの一部となっている。 ラインナップは3型。43㎜径のブロンズケースをあしらったトップタイム B21 フォード マスタング、44㎜径のブラックセラミックケースのトップタイム B21 シェルビー コブラ、同じくトップタイム B21 シボレー コルベットも44㎜径のブラックセラミックケースだが、このモデルのみダイヤルにウォールナット材が使われている。 いずれもモチーフのクルマの象徴的なヴィジュアルを思わせるダイヤルカラーや、6時位置に配された車載計器のような“丸角”のクロノグラフ積算計、ダイヤル外周に記された、クロノグラフと併用して時速計測が行えるタキメータースケールなど、1960年代を華麗かつダイナミックに駆け抜けたアメリカ車のイメージをウォッチメイキングで仔細に表現。航空時計に限定されない、〈ブライトリング〉の多彩な魅力が高度なテクニックによって具現化されている。