先輩から仕事を押し付けられ、いつも私だけ有休がとれません。訴えることは可能でしょうか。
職場環境によっては、嫌がらせを目的とした仕事の押しつけや業務量の増加が起こるケースも珍しくありません。このようなパワハラは、泣き寝入りしても解決が見込めないこともあります。そのため、事態が悪化する前に、労働基準監督署への相談や訴訟などの対策を講じましょう。 そこで今回は、仕事の押しつけやパワハラの訴訟で発生するお金について解説します。 ▼有給休暇の取得に会社の許可は絶対に必要?「繁忙期」でも取得できるの?
仕事の押しつけはパワハラの可能性あり
厚生労働省が公開している「パワーハラスメントの定義について」によると、パワハラは以下のように定義されています。 「優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること」 「業務の適正な範囲を超えて行われること」 「身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること」 仕事の押しつけは、上記の3つすべてにあてはまるため、パワハラと認められる可能性があります。またパワハラは、暴力を伴う行為だけがあてはまるわけではありません。例えば、罵倒や暴言、過酷な労働環境の強制もパワハラに該当します。 仕事の押しつけの場合では、職場内の人間が故意に起こしたものか、本人に精神的苦痛が伴うかが主な争点になるでしょう。いずれにしても、現状の業務量に違和感があるなら、労働基準監督署への相談をおすすめします。 ■パワハラとみなされる基準 パワハラを受けている人のなかには、現状がパワハラと認識できていない場合があります。例えば、ストレスに耐性がある方だと、多少の押しつけが生じても無理して仕事に従事してしまうでしょう。 仕事の押しつけは、厚生労働省が「上司が部下に対して、長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずる」といった例がパワハラにあたる可能性があるでしょう。パワハラのなかには、はっきりとパワハラと言いづらい陰湿な嫌がらせもあれば、明確な意思をもってパワハラをしてくるケースもあります。うつ病や過労などの実害がでれば訴訟にまで発展しやすいですが、できるなら早期の解決が望ましいでしょう。 ■「任せる」と「押しつけ」の違い 仕事を「任せる」と「押しつけ」の境界は、曖昧です。パワハラを告発した場合でも、人によっては「仕事を任せていただけ」と釈明するケースもあるでしょう。「任せる」と「押しつけ」の主な違いは、業務内容の正当性と本人のストレスにあると考えられます。 例えば、仕事の内容が本人でも問題なくこなせるものと第三者が見て判断できるなら「任せる」といってよいでしょう。一方、担当する業務量が明らかに個人でこなせるキャパシティーを超えている場合には、「押しつけ」とみなされます。