ヤマハ、フォーミュラEに「ローラ・ヤマハABT」で初参戦 シーズン開幕に向けて開発担当が意気込みを語る
ヤマハ発動機は、世界最高峰のEV(電動自動車)レースである「ABB FIA フォーミュラE世界選手権(以下、フォーミュラE)」を通じて、最先端の電動技術開発に取り組み、ヤマハ発動機全体の電動技術の底上げを目指すとし、今年の3月に英Lola Cars Ltd(以下、ローラ)とフォーミュラE用の高性能電動パワートレーン開発・供給に関するテクニカルパートナーシップ契約を結んだと発表。 【画像】ドライバーは、経験豊富なルーカス・ディ・グラッシ選手が24号車を、ルーキーのゼイン・マロニー選手が22号車を担当する そしていよいよ12月7日に、フォーミュラEの11年目のシーズンがブラジル・サンパウロで開幕となり、両社が開発を進めてきた「ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチーム」の初陣となる。ヤマハは電動パワートレーンのマニュファクチャラーとして、モーター、インバータ、そしてギヤボックスのパッケージの開発と供給を担当している。 フォーミュラEでは、全チーム同一シャシー(車体)とタイヤの使用が義務付けられており、パワートレーンの性能や制御がチャンピオンシップ獲得において、とりわけ大きなポイントの1つになるという。 開幕に先立ちスペインで行なわれたプレシーズンテストでは、ゼイン・マロニー選手が全体の13番手(22台中)のタイムを記録。ヤマハ発動機のフォーミュラE開発グループリーダーの梅田泰宜氏は、「ここまで手応えも感じてはいますが、先行するライバルたちの本当の力は開幕戦まで分かりません。私たちはシーズンを通して進化と成長を続け、できる限り早く表彰台を狙える位置まで進んでいきたい」とコメント。 また梅田氏は、「オーガナイザーやライバルチームの皆さんからも、われわれニューフェイスの参入は歓迎されていると感じています。イギリスの名門ローラと、F1やMotoGPなど世界の頂点で戦ってきた日本のヤマハ、そしてフォーミュラEでの豊富な経験を持つドイツのABT(アプト)というタッグに、ある種の敬意と注目をいただいているという印象です。周囲からの期待に、あらためて身が引き締まる思いです」と述べている。 さらに、プロジェクトを統括するヤマハ発動機 AM開発統括部長 原隆氏は、「フォーミュラEは、極めて厳しく繊細で、かつ高次元の世界です。厳格な各種制限の中で開発のスピード感も求められるこのチャレンジは、当社が目指す2050年カーボンニュートラルの実現に向けたブースターにもなるだろうと考えています。"なぜヤマハが四輪のレースに?"と尋ねられることも多いのですが、それこそが私たちが参戦する目的であり、モチベーションにもなっています」と抱負を語っている。
Car Watch,編集部:塩谷公邦