無印良品の熱狂的なファンが、なぜ「メルカリサロン」にスカウトされるのか
また、(1)(2)のなかでも、必ずしもメルカリのコンテンツだけを発信しているユーザーを選ぶのではなく、趣味・ライフスタイルとしてお買い物そのものを楽しんでいるユーザーに声がけしたといいます。 たとえば、無印良品の熱狂的なファンで、そのユーザーの発信の多くを無印良品の情報で占めている人が、無印良品の情報を発信するなかで、メルカリを活用して廃盤のアイテムを手に入れていました。無印良品はメルカリでも流通量の多い商品のため、このユーザーの発信が増えることで、メルカリ利用の動機付けにつながります。そのような要素も含めて誰にオファーするのかを判断しているのです。 このようにSNSにおけるメルカリに関連する情報を分析したうえで、そのユーザーに対して1on1でインタビューを実施。メルカリを使い始めた経緯や、なぜSNSで発信をしてくれているのか、メルカリ公式としてどのようなサポートがあれば、本人の活動をサポートすることができるのかを聞いていきました。そして、(1)と(2)に属するユーザーのうち、本人の活動にメリットを感じてもらえ、かつメルカリのビジョンに対して共感をしてくれた人へ正式にオファーをしました。 コミュニティに声がけする選定基準は次の2つです。 1. メルカリを「始めさせることができる強さ」を持っていること 2. 未来のメルカリを応援してくれること この選定基準は、単にコミュニティを盛り上げるためではなく、メルカリがコミュニティを始めるに至った事業課題にフィットしていなければなりません。もともと、ポテンシャルユーザーの出品に対する動機付けを事業課題として掲げていたことが、上記の選定基準につながっているのです。 メルカリのコミュニティでは、ユーザーの発信に対して金銭が発生することはありません。メルカリからはユーザー本人の活動をサポートすること、そのサポートにメリットを感じてもらえるかどうかで、一緒に活動をしてくれる人かどうかを判断していきました。 候補となるユーザーにとって、メルカリからどのようなサポートがあればよいかという質問に対し、最も多かった回答は「公式としてのお墨付きが欲しい」というもの。メルカリについての発信をしているとフォロワーから質問がくるものの、全て回答することができない場合があるといいます。その際に、そもそも発信している情報に信憑性があるのかどうかを疑われてしまうケースも少なくありません。そこで、メルカリからの公式のお墨付きがあるだけで、ユーザー自身も安心して情報を発信することができるようになるという声があがりました。これにより、情報を発信してほしいメルカリと、情報にお墨付きが欲しいユーザーのニーズがうまくマッチングしました。
高橋 遼