亡き友人が企画した野外フェス受け継ぐ 富山県南砺市で31日開催、「誰でも楽しめる場に」
今年6月に急逝した富山県南砺市井波地域の板橋宏幸さん(享年42)が毎年開催してきた野外フェスティバル「Happy Seven(ハッピー・セブン)」が31日、友人たちが担い手となり井波総合文化センターで開かれる。板橋さんは高校時代に頸椎(けいつい)を損傷し全身に障害が残る中、障害の有無や性別に関係なく誰でも楽しめる場をつくろうとイベントに取り組んできた。友人たちは「彼の思いを受け継ぎ、楽しいフェスにしたい」と話している。 板橋さんは高校2年生の時、プールの事故で頸椎を損傷。首の周辺から下がほとんど動かせなくなった。心が折れかけた時期もあったが、家族の助けや友人の励ましに支えられた。 こうした経験を経て、年齢や性別、障害の有無などを超えてさまざまな人が交流する場を設けようと、友人たちと2013年にハッピー・セブンを初開催。コロナ禍での中止を経て、昨年4年ぶりに再開を果たした。 今年の準備を進める中、6月に脳出血を起こし、そのまま帰らぬ人となった。協力してきた友人たちは一時は中止を決め、亡くなったその日に会場をキャンセルした。 だが、通夜の後、板橋さんの父からイベントを続けてほしいと依頼があった。「やらないと自分たちも後悔する」。参列した全員の総意で、板橋さんの思いを受け継ぐことを決めた。 当日は県内を拠点に活動するアイドル、鈴瀬稀叶(ききょう)さんが司会を務める。音楽家の椎名林檎さんの兄でR&B歌手の椎名純平さんらが出演するステージや、カレーやスイーツなどの出店、ワークショップなどが催される。時間は午前11時~午後9時。入場無料。 幼少期から親交がある大浦峻さん(42)は「彼を通じていろいろな人が出会い、今もつながっているのは不思議なこと。全員でイベントを成功させたい」と意気込んでいる。