貯蓄「老後2000万円」じゃ足りないのか…必要な老後資金をケース別にシミュレーション
2024年7月5日、厚生労働省より発表された「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、老後、公的年金だけで生活できる高齢者世帯は41.7%であることがわかりました。 ◆【写真3枚】老後2000万円問題が言及された文面。2枚目以降では、取り崩しについてや物価高の推移などを掲載。 半数以上の世帯は貯蓄などを取り崩しながら生活しているといえるでしょう。 少し前に「老後2000万円問題」が話題になりました。「仕事を退職する前に、2000万円を自分で貯蓄しておかなければ、老後の資金が足りなくなる」という問題です。 しかし「2000万円でも足らないのでは」と不安に感じている人もいるかもしれません。物価上昇や少子高齢化の影響で今や不足する可能性も出てきました。 さらに、円安や物価高といった余波もあり、今後必要とされる資産額は急速に増える可能性があります。 今回は、本当に必要な老後資金の金額はいくらなのか、一緒に計算していきましょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【解説】そもそもなぜ生まれた?「老後2000万円」問題の概要
2019年、金融庁が発表した資料に「老後の資金として2000万円が必要となる」という趣旨が掲載されました。 貯蓄が少ない高齢者や貯蓄が難しい若者から注目され、老後2000万円問題をきっかけに、自分の老後への不安を感じた方も多いようです。 では実際に、金融審議会による市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理(2019(令和元)年6月3日)」を見てみましょう。 こちらには、高齢夫婦の無職世帯について、以下のような文面が記載されています。 「高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている。 不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で約2000万円の取崩しが必要になる。」(筆者編集) 無職の高齢夫婦は年金だけでの生活が難しく、毎月平均5万円ずつ貯蓄を取り崩していく必要がある可能性が示唆されていました。 こうした指摘があわさって、老後2000万円問題と言われるまでになったと推測できます。 次の章では、必要な老後資金のシミュレーション結果をケース別に確認していきましょう。