「63歳でも子どものようにチャレンジしたい」宮崎美子が年齢を重ねて感じた力を抜くことの大切さ
63歳でも子どものように新しいことにチャレンジしたい
――宮崎さんは2020年からYouTubeも始められましたね。 宮崎美子: デビュー40周年を迎えて、新しいことを始めてみようと思って。ほかの方はどんなことをやっているのかなと、いろんなチャンネルも見ています。 ボルダリングも新しく始めたんです。子どもの頃、木登りが好きだったので。テレビでボルダリングを見て面白そうだなとは思っていて、仕事でその機会があったらいいなと思っていたのですがきっかけがなくて、YouTubeでやってみようと始めました。ボルダリングって楽に登っているように見えるじゃないですか。でも「高さ4mくらいなのにこんなに怖いのか」とか「自分の身体を支えるのはこんなにつらいのか」とか、いろいろ発見があって面白いです。最初は無駄な力が入りすぎてたりするんですよね。 ――ほかにチャレンジしたいものはありますか? 宮崎美子: 私、もっとスポーツをしてみたかったんです。今この歳になって団体競技は素敵だなと思います。学生時代に仲間同士の人間関係を味わってみたかったですね。レギュラー選手になるとかなれないとかの葛藤もあるのでしょうし、集中して力を発揮する爽快感もあるだろうし、そういうことを若いときに味わっておきたかったなと今さらですが思います。 だから最近、野球をやってみたくてバッティングセンターに打ちにいくんです。初心者だから、右打席と左打席どちらも同じだと思って両方で打ってみたら両方で打てました。だから、今年は右と左で投げられるようになりたいですね。 何でも子どもが始めるときのようにやってみたいんです。きっとこの年齢になったから素直にできるんだと思います。別にかっこ悪くてもいいんで。できないからこそゼロから始めて一つできたときの嬉しさがある。100点満点だとして、ゼロから始めた人間にとっては5点、10点がすごく大きくて嬉しいんです。 ――新たなチャレンジを始めたことで心境の変化はありましたか? 宮崎美子: ボルダリングと同じように、以前は無駄な力が入りすぎていたことに気づきました。 若い頃は一生懸命やらないと次の仕事を取れないかもしれないと、ガチガチに力を入れていた部分がありました。でも、ガチガチに力を入れてうまくいくことはありません。うまく力が抜けたときにストンと役に入り込めたり、相手のセリフにうまく対応できたりということがあるんです。 リラックスは一番必要なことだし、年齢を重ねたからこそできるようになったところもあります。もちろん最初からどんな場でも自分の場にできる方もいるかもしれませんが、大抵はそういうふうにはいかない。どんなに偉そうに見えても“リラックスしたもん勝ち”かもしれません。どんな風に見られようと、周りに迷惑をかけなければリラックスして良い状態を自分で作ればいいんです。 ----- 宮崎美子 熊本県出身。1958年生まれ。1980年にTBS系ドラマ『元気です!』で主演を務め、女優デビュー。以降、数多くの映画やドラマに出演。2000年に出演した映画『雨あがる』では、第24回日本アカデミー賞優秀主演女優賞、第43回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞した。また知性派タレントとして、雑学系バラエティ番組でも活躍中。 文:姫野桂 (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました)