阪神左腕に突然の異変「ぶっ倒れた」 偉業達成から2週間、夏にシーズン“終了”
神宮室内練習場で頻脈のためダウン…プロ18年目で初めての経験
「アナウンスされて、その数を知って、えっ、17人しかいないのって思いましたよ。びっくりしたのは通算303勝の(ヴィクトル・)スタルヒン(元巨人など)も2000取っていなかったことですね(通算1960奪三振)」。北海道旭川市出身の星野氏にとって、旧制旭川中出身のスタルヒンは雲の上の人。「同じ旭川だからといって比べられるのもやめてくださいって言っていたんですけど、1個でも上回るものがあって、ちょっとそれはうれしかったですね」。 誰よりも遅いボールを武器にしての2000奪三振。「三振を確実に取れると思って投げてきてはいなかったので、そういう意味では自分でもびっくりでしたね。おそらく球の速い人が三振を取ってきたでしょうから、その中に入れたというのはね。勝ち星もうれしいんですけど、奪三振はまぁまぁうれしかったです。驚きで、ホントに」と話したが、紛れもない大勲章だ。2001年はその勢いで一時、調子も上がった。 8月5日の広島戦(広島)では4月13日以来の先発登板で、4回無失点。8月12日の中日戦(ナゴヤドーム)では8回2安打無失点でシーズン初勝利を挙げた。だが、そこからまた暗転した。8月19日の横浜戦(横浜)に先発し、2回0/3を3失点で降板。その次のカードのヤクルト戦(神宮)練習中に体に異変が生じた。「ぶっ倒れたんですよね。神宮の室内で。ものすごくジメジメした日だったんですが、脈がバーッと速くなって……」。 心拍数が増加する頻脈だった。これが原因でこの年の星野氏の登板はそれ以降なかった。10登板、1勝2敗、防御率4.60で終了。「体調と闘うことになりました。けっこう波がありましたね。どこで来るか、わからないって感じで。今は何ともないんですけどね。あの頃は勝てないストレスとか、そういうことなのかなぁって思いますけど……」。プロ18年目にして初めての経験。まさに思わぬ事態だった。2000奪三振を達成した年に左腕は苦境に立たされた。
山口真司 / Shinji Yamaguchi