興行的には最悪展開?!侍Jのプレミア12決勝進出決定も2日連続の日韓戦で消化試合が発生
スーパーラウンドの開幕戦はZOZOマリンだったが、熱狂的な応援で知られる本拠地ロッテから一人も選出されていないのだから、キャパの半分の動員で終わったのも仕方がなかったのかもしれない。また日本中にファンが散らばる阪神から一人の選出もなかったのは観客動員の面でも痛かっただろう。 「もうひとつが試合開始時間の問題です。僕はこれが観客動員の伸びない理由の大きな比重を占めていると思うのですが、19時開始では、平日にまず家族連れは無理です。実は、国際試合は、バッテリーは慎重になり、投手交代が多いので試合時間は長くなります。高いチケットを買って途中では帰れませんから、行きたいけれど遅くなるから今回は止めておこうというファンが、かなりいるのではないでしょうか」 スーパーラウンドでの日本の3試合は、豪州戦が2時間39分、米国戦が3時間27分、メキシコ戦が3時間1分だった。侍ジャパンの内的要因に加えて「プレミア12」の運営上の外的要因があることも否定できないだろう。 ただ里崎氏は、「侍ジャパンの興行には限界がきていると思います」とも指摘した。 「スポンサーについてもらっている以上、定期的な興行が必要になります。でも、日本と同等レベルで戦える国がどこにありますか? そういう状況で春と秋に2度ずつ興行するとなるとファンの興味を引くマッチメークは難しくなってくる。メジャーリーガーを呼ぶ日米野球くらいのものでしょう。五輪での野球競技は東京で最後です。プレミア12は、WBCの対抗大会であり、五輪に向けて野球が世界規模の競技であることを示すための大会でしたから、今後は存続問題も出てくるでしょう」 WBCでさえ毎回、存続について議論となるが、「プレミア12」に関しても、ホスト国の日本開催でさえ観客動員が思わしくないのだから、今後、存続問題は議論となるだろう。 最後に里崎氏は、こんな話をつけくわえた。 「世界一になった2006年の第1回WBCも、実は、東京ドームでの予選はガラガラでした。米国での決勝ラウンドへ進んだとき、空港での見送りのメディアもほとんどいませんでした。イチローさんがいたチームでそれですよ。それほど大会の認知度もなく代表チームの人気などもなかったんです。それを考えると十分でしょう。来年の東京五輪は、否応なしに盛り上がりますよ」 ちなみに2006年に東京ドームで行われたWBC1次リーグの日本対中国戦は1万5869人しか入っていなかった。 興行的には最悪の展開となったが、日本は、ここで韓国を倒して世界一の称号を奪い、来年の東京五輪へ向けての弾みと自信をつけておかねばならない。しかも、相手が前回の「プレミア12」の準決勝で敗れ、WBCでも数々の因縁試合を戦ってきた韓国である。 決勝への“前哨戦”をどう戦うかも重要。韓国は、当初、先発予定だった起亜タイガースの左腕エース、ヤン・ヒョンジョンを回避、決勝に温存した。野手も主力を休ませる考えだという。対する日本は先発に予定通り岸(楽天)を立てたが、ここまで出場機会の少なかった選手を中心に戦う予定で甲斐野(ソフトバンク)、山本(オリックス)、山崎(横浜DeNA)の強力ブルペンも稼働させないだろう。勝負の日韓2連戦。戦いは、その初戦から始まっている。