雪解け間近の北海道 目覚め動き出すヒグマ…"冬眠中や冬眠明け"狙った駆除 本格化「保護→個体数管理」政策転換―去年の狂騒からことしを展望
「なぜ殺した」「かわいそう」"駆除への批判"がハンターへ
OSO駆除の知らせは酪農家たちを安堵させたが、予想だにしない反応があった。 「なぜ殺したのか」「クマがかわいそう」「他に方法があったはず」 SNSで批判が続出し、ハンターや家族、役場に電話も寄せられた。これに地元猟友会は憤る。 「これだけクマの被害があるようなところに来て、生活し実態を見てくれと言いたい。われわれも面白半分にクマを撃っているわけではない。批判されるくらいならハンターを辞めるという人も。鉄砲を持たなくなってしまう」(北海道猟友会標茶支部の後藤勲支部長)
ハンター ピークの"4分の1人"に…高齢化し円安やウクライナ情勢で銃弾高騰
北海道猟友会によると、道内のハンター登録者数は年々減り続けて、ピーク時の1978年に比べると、2023年は4分の1の約5300人まで減少した。 半数が60歳以上と高齢化も深刻な問題。熊撃ちになるには、5~10年の経験が必要とも言われている。 銃弾も輸入に依存していて、円安やウクライナ情勢で高騰した。 「1個の弾が1000円くらい。昔は600円だった」(北海道猟友会 厚岸支部の根布谷 昌男さん) 北海道が9月、「ヒグマ有害捕獲へのご理解のお願い」と題しX(旧ツイッター)に投稿する事態に。 「人を恐れないで何度も市街地に出てくるクマは、危険なものとして捕獲しなければならない場合もある。やむを得ず駆除をしているという事実は多くの人に知ってもらいたい」(北海道の担当者) 子グマを連れて、札幌市南区の住宅街で出没を繰り返したメスのクマが箱わなで捕殺されると、抗議が約650件も殺到した。大半は道外からとみられる。
道民の多くが"駆除に肯定的" YouTubeアンケートでも73%が「問題個体は積極的に駆除すべき」
北海道民に街頭でマイクを向けると、駆除に肯定的な人が多い。 「捕獲して自然に戻すことができれば一番良いが、なかなか難しい」「人間の命の方が大事。駆除しないと大変なことになる。これからどんどん被害が続出する」「危険なクマから守ってくれるハンターに苦情をぶつけるのは違うと思う」 10月に実施した『北海道ニュースUHB』のYouTubeコミュニティアンケートで、クマ駆除への見解をたずねた。約1万7000の投票のうち、73%が「問題個体は積極的に駆除すべき」と回答。「やむを得ない場合に限り容認」が22%と続き、「何があっても反対」はわずか3%だった。
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